過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―3―
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635: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2016/04/28(木) 23:43:51.31 ID:x8COVavw0
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 天蓋の森の出来事から早二週間経った。例のちょっかいを出してきた何者かは未だに特定できていないけど、それも秒読みの段階に入っている。
 あたしはというと、どうにか歩けるまでに回復して、ようやく医院を出られたところ。久々に仰ぐ空は何とも格別なもので、すぐさま物色するようにキョロキョロと周囲を見回す。すぐに見つかった、剣を眺めながら話し合ってる男二人組の姿がある。あーだこーだと言い愛していて、退院した直後でいいものが見れた。

「ふふっ、うふふっ」

 二人は表向きにはとても仲の悪い二人組、剣の趣味も反りもあわない。でも、実はこうやって二人で出掛けちゃうような仲。

『この剣にしよう』
『えっ、でもそれ夫婦剣じゃないか』
『だからこそだ。なぁ、もうそろそろ、誤解を解かないか?』

 残った手で彼の手を撫でる。ゴツゴツとした手の甲の感触、いつも訓練の時にぶつかりあう、なまめかしい汗が脳裏をよぎる。だめだ、ここで、ここでそんな風にされたら。

『俺はお前と同じ剣を握って、同じように駆け回りたい。もう、俺たちを引き裂くような偽りに終止符を打とう』
『だ、だめだ』
『どうしてだ……』
『お、俺は今のままがいいんだ。お前と切磋琢磨してると、いつでも力が湧きあがる。でも、今の関係を壊してしまったら、俺は、俺は……』

 不安な面持ちで見つめる熱い視線、二人がここまで続けてきた偽りを崩した時、何が起こるのか。でも、そんな恐ろしいことにさえ彼は――

「エポニーヌ!」
「へっ、あ、フォレオ……」
「あっ、じゃないですよ……。さっきから足を突然止めたので、どうしたのかと思いました」

 妄想が静かに去って、眼の前に主だけが映り込む。フォレオは、あたしが退院しただけだというのに、すごくおめかしした格好をしていた。なんていうか、誰がどう見ても女の子にしか見えない、そんな格好である。これは世の男どもが放っておかないわねと、口の中に生まれた唾液を呑み込んだ。

「ご、ごめんなさい、久しぶりに外に出たから、ちょっと町の光景に夢中になってたみたい」
「そうですか、その、ごめんなさい」
「え、なんでフォレオが謝るのよ。あたしがヘマしただけなんだから、フォレオが気にすることじゃないわ」
「エポニーヌがそう言ってくれるのなら」


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