過去ログ - 華琳「ガッツ……貴方を、必ず私の物にしてみせるわ」
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11:名無しNIPPER
2016/03/05(土) 01:38:52.82 ID:BCv3nobOO
ふむっ、では特別にその逆の名の存在についてもお教えいたそう」

「ほほぉ、これはありがたき幸せ。この趙子龍、ぱっく大師匠のご高説、ありがたく拝聴いたしまする」

「うむ、よきにはからえーい!」

 こほんと一息ついて。受け売りな言葉を語る。

「オレの故郷の魔術師がいってたんだけどね。魔名(まな)――魔物とかの魔ね――を持っている、そういうヤツらもいるんだって」

「……聞くからに恐ろしい名ですな」

「そうそう。だから基本的にその名は知っちゃいけない。仮に知ったとしても、絶対に口にしちゃいけない。耳にしてもいけない。そういった掟なんだって」

「? ならばどうやってそれは知るのですー?」

「んーーーとね、魔術師の弟子とかに、その“名を意味する形”を見せるんだ。護符とか結界とかも使って、慎重に伝授するんだってさ」

 チョーウン以外の二人は黙ってその理由を考えているようだった。
 だが答えを出すのにまだパーツが足りないのか、互いに目を合わせてうんと頷き、話の続きを促した。

「……では何故、そのような名をわざわざ伝授するのですか。知ってはならない名ならば教えなければいいだけの話では?」

「え? え、ええ〜〜〜とぉ〜〜〜〜……」

 やばいやばいやばい。そんな理由、考えたことない。今考えたとしても、知力3マイナスのパックが答えを導き出せるわけない。めいでーめいでー、あぱーーっち、弾持ってこい、タマ落としたろうかー。

 それでなんとか、記憶の片隅から聞いていたワードを引っ張り出すことに成功。

「そ、そうだっ!『近づけてはいけない、近づいてはいけないものだからこそ、我々は識らなくてはならない』だった! こ、これで分かるでしょ?」

 なんかそれっぽいこと言って、後は丸投げ作戦に出た。

「………………ああ、なるほど。やっぱりぱっくちゃんのお話は興味深いですねー」

 よっしゃあ、我が策成れり。

「稟ちゃんも分かりましたよね?」

「…………ええ、なるほど、これは我々、文官を志すものにとっても重要な命題ですね」

「そ、そーだよねー、あはっ、あははは……」

「私はまだ分からないのだが、よければお教えいただけるか、ぱっく殿」

「二人とも、説明よろしく」

 きゃっち、あんど、りりーす。
 そういった難しい説明はオレ無理と、彼女らに全権を託した。

「はいです。まず魔名を呼んではいけない理由は、言ったり聞いたりすると、その悪いモノが寄ってくるからでしょうねー。悪い言葉は悪いモノを呼ぶというのはよくありますから」

 魔に近づいた者は魔の波動に染まる。それはパックもあの“渦”を知ったからこそ納得できる言葉だった。

「なるほど、それは少し分かる。ならば呼ばねばいいだけではないか?」

「星、それでは半落ちですよ。だって呼ばなくても、それは“まだそこに在る”なのですから」

 二人はパックの真名の説明から魔名の正体を導き出した。

「ぱっくちゃんの真名の説明から察するに、呼ぶというのは“形”を成すのでしょうね。そのため一度それと呼んでしまうと、無いのに有る(在る)モノとされてしまいますー」

 例えばですがと、カクカちゃんが一つ例に挙げた。

「季節を考えてみて下さい。一年を春夏秋冬と分け、あたかもそれがあるかのようにとらえています。しかしそれは、“本当に元からあったもの”でしょうか?」

「……無いな。年月(としつき)というのは人が勝手に区分けしてるものだ。明確に線引きされているものでない」

「そうですねー。人為的なものであり、本来、季節は連続的なものでしょう。しかし季節というのを“一旦、想定してしまうと、無かったのにあたかもそこにあるかのように感じてしまう”のでしょー。そしてそれが無くなると不安でしょうがなくなってしまいます――本当は存在しないのに」

 話は戻しますが、と続ける。

「悪いモノ――魔名を冠するモノとは、人の恐怖や不安となる根元(こんげん)なのでしょう。夜とか闇とか汚れとか、そういった方に属するモノ達。それは本来、避けるべきもの。しかしそれ故、“どうしても気になりそちらを覗いてしまう”」

「……なるほど、稟の妄想癖のようなものか」

「そうなんですよ、私もああダメですダメですぅーと、分かっているのですがついついー……ってそれとこれとは関係ないでしょうがっ!」

「さすがです、星ちゃん。大当たりです、ぱちぱち」

「ねーねー、妄想癖ってなになに?」

「さ、さあ話を続けましょうっ! とにかく、こほん…………何も知らない未熟者が不用意に近づくと危険というのが、その魔名を儀式として伝承していく理由の一つ」

「そしてもう一つの理由は、仮に教えなかったら、どこかの誰かがそれに名を与え、新しい“殻”を創ってしまいます。それで昔ながらの魔名を伝えることにしているのでしょうねー」
 二人の説明でいろんなことを納得できた。かくいう自分も、長いことパックパック呼ばれているせいか、真名がなんだったのか忘れてしまっているし。確かー、ゆうて いみや おうきむ こうほ りいゆ うじとり やまあ らきぺ ぺぺぺぺ……ふっかつ の じゅもん が ちがいます、あれ?


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