過去ログ - 華琳「ガッツ……貴方を、必ず私の物にしてみせるわ」
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名無しNIPPER
2016/03/05(土) 01:41:46.98 ID:BCv3nobOO
その場にいた全員が、ガッツの死を確信した。
黒髪の女性は瞳孔が極限まで広まり、同時に脇にあった剣を上段から振り下ろす。
彼女の首から下の長さほどある大剣。それを振るう彼女自身も大陸に名を轟かせる武人。何よりも彼女のもっとも敬愛する主を侮辱した。
これだけの要素が揃っていながら、男の死を免れるものは何も無いと。
だが。それはこの大陸の人間ならの話だった。
剣の尖端が頂点を越え、今まさに振り下ろされるその瞬間、ガッツの手が動き、その背に抱えていた剣を抜いた。
…………剣? いや違う。
―――それは、剣というには余りに大きすぎた―――
抜かれた黒い何かが、地上に大きな影を生み出す。全員がその何かを思わず見上げる。
―――大きく、分厚く、重く―――
女性の剣と、黒く巨大な何かが交差する。交わりは一瞬。パキンと澄み切った音を立てて、女性の片刃の大剣が半ばから折れた。
―――そして、大雑把すぎた―――
そのまま女性をも両断せんと勢いづいた何かが、しかし、爆発的な踏み込みの音とともに静止する。半拍遅れて、爆風が女性の髪どころか、服や地上まで散り乱した。
「……な、あ?」
「おい」
茫然自失し、自分の頬のすぐ右にある黒い巨大な何かから、視線を目の前の男に戻す。
何をしたとも何があったのかとも、何も言えないまま、女性はただ目の前の隻眼を見る。
「てめェらがどこの誰で、何様なのか、俺には関係ねえ。だが、こっちのジャマをこれ以上するんなら――――斬る」
ブォンと重い風斬り音を立てて、男はその黒い何かを肩口に背負う。
そのとき、初めて、黒髪の女性はその正体に気づいた。
――剣、なのか……あれは……!?
それは、剣というには余りに大きすぎた。
大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎた。
―――それはまさに、鉄塊だった――――
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