過去ログ - 華琳「ガッツ……貴方を、必ず私の物にしてみせるわ」
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3:名無しNIPPER
2016/03/05(土) 01:32:16.31 ID:BCv3nobOO
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「――――だ! ガッツ、おい起きろ!」

 聞こえてくる必死の叫び声が意識を引き上げる。男――『ガッツ』が左目を開くと、そこには口うるさい妖精(エルフ)が映った。だがいつもの飄々と軽い雰囲気はそこになく、焦燥のみがあった。
 そして気づく、己の右手が握っている綱の先にいるはずの人物がいないことに。

「おいパック! 『キャスカ』はどこだっ!?」

「ちょっと眠り込んだすきに……勝手にいなくなっちゃったんだよっ!」

 右手が震え出す。今の状態の彼女が一人で歩き回るなど、無謀すぎる。

「早くしないと日が暮れるし……キャスカ一人じゃ……!」

 そうだ。ガッツと同じ“烙印の者”が夕暮れに歩き回るなど無茶だ。いや―――例えこれが昼であったも彼女一人だけで行動する事自体が危なすぎた。

――キャスカ……!


 ガッツの行動はすぐだった。羽を持ち、空中から探せるパックを遠くに行かせ、ガッツは近くの場所を虱潰しに探すことにした。

 街道を走りながら一人舌打ちをする。

「くそっ……くそったれっ!」

 心の中で罵倒を続ける。しかしその声が向かっていた先は、逃げ出した彼女でなく、彼女をそこまで追い込んでしまった自分自身だった。

――甘すぎた。
 
 キャスカが「塔」へ一人向かったときは、生きてさえいれば……無事でさえ在ってくれればいい。ただそれだけを願った。
 キャスカをこの手に取り戻せた時、それが全てだと思った。

 だがそんなわけが無かった。
 手にしただけで……それだけで、彼女を置き去りにした日々を拭えるわけがなかった。
 ガッツが一人さまよっていた時間だけ、キャスカを一人暗がりに置き去りにした分だけ、二人は遠くに去ってしまっていた。

――だが……それでも俺は……!!

 守ると誓った。もう逃げ出さないと決めた。

――できるのか……俺に……

 自分への不信が大きくなる。自分の禍々しさが、キャスカを傷つけるのではないかと恐怖がもたげる。

「クソったれぇっ!」




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