過去ログ - 【安価コンマ】理不尽難度のダンジョンアタック その11【オリジナル】
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606: ◆x8NsquFWLI[saga]
2016/03/16(水) 23:45:29.41 ID:On1ZqWpBo

そして次。

今あなたの掌中には、大英雄が歩んだ白の森の全てが収まっている。
小瓶に収まった記憶は、旅人の話によれば閲覧が可能であるという。
つまりは、巨大な手がかりを得た事にもなるのだ。

これを探らない手は無い。
あなたは仲間達に万一に備えて貰い、再び小瓶に魔力を籠めた。


視界が切り替わるのは一瞬であった。
あなたの眼前に広がったのは、豊かな森。
数多の鳥獣が暮らし、無数の恵みが実る、地上の楽園。

迷宮に呑まれる以前。
在りし日の森の姿だ。


『……毎度毎度、なんであんたは迷わないのさ。
 こんな人間初めてだよ、どうなってんの?』


声に、あなたは振り向いた。
いや、正確には振り向いたのは姉なのだろう。
あなたの体は少しも動いてはいない。

視界の中心に捉えられたのは、一人の幼子であった。
輝くような緑の瞳を持つ細身の子供は、膨れた頬を隠しもせずに木の影から顔を覗かせている。


『この私が悪戯精霊程度でどうにかなる訳ないじゃない。
 もっと修行積みなさい、修行を。
 最低でもドラゴン位は迷わせられないと話にもならないわよ?』


それは余りにも懐かしく温かかった。
あなたの意識と同じ位置から発せられる、最愛の姉の声。
姉の死を突き付けられ、二度と耳にする事は無いと諦めもしたそれに、あなたの心臓は強い鼓動を打っただろう。



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