過去ログ - 男「とある街の小さな店」
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4:名無しNIPPER[saga]
2016/03/09(水) 23:56:05.23 ID:37z1Sb6x0
ザアアァアアァァ……

青年(……寒い)

青年(最近暖かくなったと聞いたが……今日はなんて寒いんだ)

青年(……)

青年(……こんな所に店が……開いてる。お金は……ある)

青年(入ってみようかな)ガチャ

少女「!」

男「いらっしゃいませ」ニコ

青年(へえ、中はこじんまりとしてるな。でも狭いってわけじゃない)

青年(アンティークな感じで統一されてるな。とにかく座ろう)

青年(今日のメニューは……悩むな……)

青年「……珈琲を一つ。とりあえずそれで」

男「かしこまりました」ニコ

コポポ……カチャカチャ……

青年(……はぁ)

少女「……」スッ

青年「ん……温かいおしぼりか。ありがとう」

少女「……」コク

青年(静かな子だな)

男「ああ、その子は口がきけないんですよ。申し訳ありません」

青年「へえ、そうなんですか」

男「お待たせしました。今日の珈琲です」コト

青年(……良い香りだ、鼻をすーっと通っていく)ゴク

青年「……あ、うまい」

男「それは良かった」ニコ

青年(何だろう……苦みと酸味のバランスが絶妙だ。舌にじんわりと広がる……)

青年(喉を通った瞬間、香ばしい香りが口内を満たしていく)

青年「……」

男「今日は寒いですね。ですが、この調子だと、もう春は目の前ですね」

青年「春、ですか」

男「……おや、春は嫌いでしたか?」

青年「……僕は田舎出身ですが」

青年「故郷の小さな村には、毎年綺麗な桜が咲くんです。僕はそれを見るのが大好きでした」

青年「……でも、巨大な嵐が直撃して……村が壊滅したんです」

青年「……随分前の話ですが。毎年この季節になると……どうしても、思い出すんです……」

青年「だから、春は嫌いです……桜がすぐ散ってしまうのも、故郷を思い出してしまうから」

男「そうでしたか……」

青年「……」

男「お客様、少しお時間を頂けますか?」

青年「? はい」

男「ありがとうございます」


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