63:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 21:33:58.08 ID:eG2yu27a0
男「……」カチャカチャ
若者(あ、あれは……そうか、もうそんな時期なんだな)
男「……よし、もう良いかな。開けようか」
若者「お師匠さん」
男「ん?」
若者「……すいませんでした。気取った感じ、なんて軽々しく言って」
男「……ふふ、その事か。気にしなくて良いよ」
男「そもそも、「紫苑」の料理は、彼女の教えてくれた事を、僕なりにアレンジしているんだから」
男「別に彼女自身の味が否定された訳じゃない……それどころか、感謝してるんだ」
若者「え?」
男「この狭い店は、私の思う「居心地の良さ」を全て詰め込んだ世界だ」
男『……どう?』
女『あはは、見た目は気取ってる感じなのに、何だか暖かい味だね!』
男『そ、そうかな?』
男「……いつの間にか、ただ「気取っている」だけになっているのかもしれない」
男「初心を忘れないように、彼女が亡くなった季節に、この料理を作る事にしてるんだけどね」
男「君のおかげで、一層気が引き締まったよ。……ありがとう」
若者「あ……」
若者(くそ、こっちが負い目を感じないように……ああもう、上手く言葉が出てこねえ!)
若者「……ふー」
若者「全く……敵わねえぜ、うちのシェフには」
男「……」ニコ
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