8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/10(木) 22:45:05.04 ID:d6UCRk5P0
とはいえ、いつまでもこの場所でじっとしていることで、なくなってしまった物が元に戻るわけではありません。
辺りはすっかり暗くなり、焼け跡に入るのも危ないという事で、
無事な荷物――到底、あるとは思えませんでしたが――その確認もできなくて。
私は着の身着のまま、夜の街に放り出された迷いうさぎ。
財布を開いて中を見るも、入っているのは電車の定期とテレフォンカード。そしてじゃらじゃらとした小銭だけ。
あぁ、こんな事になるならばと、私は手に持っていたスーパーの袋を恨めしげに見つめました。
「――しかたないですね」
気は進みませんでしたが、こうなってしまった以上、私が頼れる場所は一つしかありません。
両手を胸の前に持ってきて、よしっ! と気合を入れるポーズ。
そうしてそのまま振り返ると、私は再び宇宙艇に乗り込むため、駅へと続く道を急いで引き返したのです。
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