過去ログ - 俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』
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[sage]
2016/09/16(金) 13:26:22.95 ID:hBpSPC+K0
「 ―――― !」
その時、さほど離れていない校舎の影で誰かが微かに身じろぎし、息を飲むような気配が伝わって来た。
恐らくは陽乃さんもその事に気が付いたはずなのだが、それが何であれ、誰であれ、軽く一瞥しただけですぐに興味を失ったように見えた。
八幡「 …… なぜ、今ここで、そんなことを?」
本当に聞くべきことは他にもあったかも知れない。だが、それは明らかに今の俺が踏み込んでいい領域ではなかった。
形にも言葉にもならない模糊とした遣り切れなさが、否定でも肯定でもなく、彼女がそれを俺に告げた意図を問い質す。
陽乃さんは目を細めると、優しく、柔らかく、甘く、しかし明らかに毒の含まれた言葉を紡ぐ。
陽乃「これはね、比企谷くんに対する、私からの忠告よ」
八幡「 ……… 忠告?」
陽乃「そう、忠告。もし、キミが雪乃ちゃんのことを今みたいに考えているとしたら、そう思い込んでいるんだとしたなら」
陽乃「 ―――――― 遠からずキミはあの子を失望させることになるわよ」
不意に低く転じた声は妙に冷たくひりひりと渇いていて、俺の耳には忠告と言うよりも、むしろ抗えぬ運命を告げる不吉な予言のように空ろに響いて聞こえていた。
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