過去ログ - 俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』
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[sage]
2016/03/16(水) 01:05:33.22 ID:WYk72t+X0
雪乃「…制服、かしなさい。ボタン、つけなおすから」 雪ノ下が憮然とした表情で俺に告げる。
八幡「や、それくらいなら家に帰ってから自分でできるし…」
自慢ではないが小さい頃から両親が共働きで帰りも毎晩遅かったせいか、大抵のことならひとりでできる。逆にひとりでできないことはまるでできないまである。
雪乃「いいからかしなさい」 少し怒ったような声で雪ノ下がもう一度繰り返した。
八幡「あ、いや、この寒さで上着脱いだら、さすがにそれは ――― 」 寒いだろ、と言いかけると
雪乃「すぐに終わるから、それまでこれで我慢なさい」 そう言って、いつも膝掛け代わりに使っているスツールを差し出した。
八幡「…お、そ、そうか、スマン」
よく考えてみればコートを上に着ればそれで済むことだったのだが、雪ノ下の圧に押し切られるような形でそれを受け取ると、暫し躊躇った後、結局そのまま肩に羽織ることにした。
ふわり、と、さきほどの雪ノ下と同じ香りが漂う。まるで彼女自身に優しく包み込まれたれたような気がして、何だか妙にこそばゆくて気恥ずかしい。
雪ノ下は由比ヶ浜から先ほどの裁縫セットを受け取り ――― なぜか俺のすぐ隣にストンと腰を下ろすと、そのまま何食わぬ顔でチクチクと裁縫をはじめた。
………えっと、あの、雪ノ下さん?気のせいか少し近くありません?
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