過去ログ - 俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』
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992:1[sage]
2017/02/12(日) 13:29:28.15 ID:yhf5+NBv0


* * * * * * * *



そのまま海老名さんに別れを告げ出口へと向かいかけたが、小町に頼まれたドーナツの袋をカウンターに置き忘れたままであることに気が付いた。

すぐに回れ右をして先程までいた席に戻り、


八幡「悪りぃ。忘れ物 …… 」


少しばかりバツの悪い思いをしながらも、こちらに背を向けたままの海老名さんに声をかける


――― と 、



ガチャンッ


慌ててコーヒーカップをソーサーに戻す音が響いた。


海老名「な … なに …… かな?」


振り向きもせず返す声に、微かだが狼狽の色が滲み出ている。


八幡「 ……… や、妹に頼まれたドーナツ忘れたんだけど」


海老名さんは目の前に置かれた袋を素早く手にとると、無言のまま無造作に後ろ手にすっと差し出す。


八幡「お、おお、サンキューな」


再び出口へと足を運びながら、なぜか気になって最後に一度だけ振り返ると、テーブルに突っ伏して何やら呻きながらじたばたともがいている海老名さんが姿が目に入った。






―――――― そういやあいつ、飲み物なんてたのんでたっけ?

俺がそんなどうでもいいようなことに気が付いたのは、店を出て家へと向かう自転車のペダルを漕ぎ始めて暫く経ってからのことである。




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