過去ログ - 【凡将伝】どこかの誰かの話【三次創作】
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925:俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU[sage saga]
2017/12/19(火) 13:24:23.38 ID:FjN3GcTNO
>>852の続き

◇◆◇◆◇◆◇◆
さて、陳留という街も結構な人口を抱えていて賑わいという点では南皮にも負けてはいない。……いないが、範囲が大通りとその周辺というのがちと寂しいが。

連日陳留城であれこれ仕事していると、ある日曹操様が、「貴方働き詰めだけどちゃんと休養は取っているんでしょうね?」
と聞いてきた。
いやま、独りだからちゃんと寝る時間さえあれば休みなんざ「南皮にね、私の事を『ぶらっく太守』と言う人物が居るのよ。意味がわからないから探りを入れたら、
「部下に休みも与えない極悪太守」
とか。この曹孟徳が『極悪』と言われるのも業腹だし、第一ちゃんと休みは定めてあるわよね?」
はいその通りです。
ですが独りはこれで暇をも「問答無用。さっさと帰りなさい」
……追い出されてしまった。
ということで、ぶらぶらと陳留城下をふらついているのだが。
……飽きた。
悪所の無頼を締め上げて親玉をぶちのめすかと、それらしい場所に行ってみると目が合った奴らがそそくさと消えやがる。それどころか、

「将軍様、わっしらはちゃんと曹操様の御沙汰に従って商売させて頂いておりやす。第一逆らえば夏候将軍様が乗り込んできて大暴れするのが目に見えてまさぁ」ときやがった。
ますますもってつまらんとむすっとした表情をどう取ったのか、奥からのっそり出てきた親玉が、
「ま、ま、将軍様。今日のところは」
と袖の下を渡そうとしてくる。

…………馬鹿者が。
これ幸いと一撃食らわせると、荒事には慣れているはずの親玉が涙目で、
「堪忍してくだせぇや。銭が駄目なら酒でも女でも、将軍様の良いようにしてくだせぇ」ほぅ、なら。
「最近、陳留城の事を嗅ぎ回っている奴がいねぇか?」
「さいですな、見覚えの無い奴が陳留城に出入りする官人の使う飲み屋で何やら蠢いているのは子分達から聞いておりやすが」
「それはどんな……」
踏み込んで更に聞こうとしたら、乱暴な足音と共に、
「おおお親分っ、またあいつらがっ」
何やら面白い事を持ち込んで来た。

連中と共に騒ぎのもとに出向いてみると男が数人暴れている。
表でやるならともかく、店の中だから迷惑この上ない。
親分と共に店に乗り込み、
「手前ぇら!ここを何だと思ってやがる!」
最初の啖呵は譲ってやる。
男達の格好を見るに、日銭仕事の流民だろう。
だが、物腰が一般人のそれ。ではない。
恐らく……
と、男達が親分の啖呵を聞くと暴れるのを止め利き手に何か持ってこちらを向いた。
利き手に握られていたのは、短剣。
……ふん、やはりな。
こいつらの地元で徴兵されたか、それとも流民に扮して潜り込んだ賊か。
面白ぇ。
短剣を見た無頼共も同じく剣を持って対峙するが、

「おい。表ぇ出ろや。こっちは当てが外れて面白くねぇんだよ」
無頼共に気を取られている隙に音も無く近付くと、男達の背後を取り襟首掴んで表に放り出す。
呆気なく表に放り出された男達に続いてのっそりと表に出てくると、殺る気満々の男達が剣を構えている。
が、

「おま舐めてんのか?本気で命のやり取りしたことあんのか?くら!」
無造作に片手持ちの得物を振るって剣を弾いてやる。
簡単に剣を弾き飛ばされ、おまけに利き手の手首を押さえて痛そうなしかめっ面に、
「無頼気取るなら、この程度のヌルい打撃で得物を離すなコラ、しばくぞコラ、締めるぞコラ、ボケかコラ、死にたいんかコラ、気合い見せろやコラ、大概にさらせコラ」
ありったけの罵声と共に散々に打ち据える。
ボッコボコにされて白目を剥いている男達を簀巻きにして無頼の連中がどこかへ運ぶのを横目にあくびを一つ。
……暇潰しが終わっちまったな、さてどうするかな。
ん?

大通りから多数の兵が入って来るのが見える。
装備からして曹軍ではない。
かといって、近隣に曹家と揉めている勢力はいないし……
「官軍がまた何で。あの野郎共が余所でもやらかしてんのか?」
その疑問はあっさり解決された。
兵を率いる将が俺の姿を見ると手振りで何か指図する。
ぞろぞろと俺の方へやって来ると俺を取り囲む。
やんのか?と目に力を入れてみるが、武器を構える様子も見せないので慎重に様子を見る。
というかおい、お前らで道が塞がれちまってるぞ。飲み屋の客も春を売る女達も店の中から野次馬で見てやがるし、何なんだ?

「久しいな、横超過」
兵の後から姿を見せたのはお騒がせ皇子の守りをしている将軍様。
慌てて、
「ご無沙汰致しております。御健勝そうで」
礼を執る。だが御本人は溜め息一つ。
「のう、横超過。貴様官を何と思うておる?ん?」
「いやあの唐突にそう仰せられても官は官としか」
実際身に覚えがないからしどろもどろに将軍様の質問に御返答する。
「まぁ良い。さっさと都へ顔を出し、官位を受け取らんか。役人共が渋い顔しておるわ。
というか『高位官がいつまで仕事もせず遊んでおるのか』とある方がおかんむりでな、悪いが引っ立てるぞ」
「いやあの御待ちを。現在当地の曹家配下であります故、主に話を通して頂かないと」
「おう、なら案内せい。
……抵抗は無駄じゃ。勅も賜っておるでな」

うーそーだーろー


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