520: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/28(日) 15:20:43.50 ID:jS9uIrpkO
卒業式と卒業旅行の準備が終わった。教室には五つのパイプ椅子が並べられ、黒板には卒業生四名の名前と永井のイニシャルが綴られている。その横には、永井の顔の特徴をよく捉えたイラストがデフォルメされ描かれていた。これは美紀が作したものだった。
教壇の飾り付けを終えた胡桃は、教室の外のプレートの下に会場案内の書を貼りに行った永井がまだ戻ってこないことを訝しんだ。様子を見に行くと、ドアのすぐ横の柱に貼られた半切があるだけのがらんどうの廊下だけが残されていた。
胡桃「バックれやがったぞ、あのやろう」
悠里「えっ!?」
由紀「どういうこと?」
美紀「サボりです」
胡桃「優等生だったんじゃなかったのよ、あいつ」
胡桃が文句を言ってると、外から車のバックファイアのような軽い音が立て続けに聞こえてきた。その音は学校から離れた場所から響いており、学校の周囲にある住宅地のどこかが音源らしかった。
胡桃「拳銃撃ってる……」
悠里「そんなもの持ってるの?」
胡桃「いや、駐車場でひろってさ」
美紀「でも、どうして今?」
胡桃「練習なんだろ。あと、動作確認とか」
またあの乾いた音が聞こえてきた。パン、パン、パン、と三発の発砲音が落ち着いたリズムであたりに響いた。
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