523: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/28(日) 15:24:16.38 ID:jS9uIrpkO
−−校庭
トヨタ・クラウンは昇降口の手前に停車していた。助手席のドアは開いていて、永井はシートに対して横向きに腰かけている。学園生活部の四人は校舎の天辺まで見納められる場所に一列に立ち、深々と頭を下げた。胡桃が他の三人よりさきに頭を上げ、こぼれた涙をすっと拭う。
永井「終わったか」
胡桃「まあな。『仰げば尊し』、聴こえた?」
永井「聴こえたよ。窓開いてるんだから」
悠里「まあまあ。それじゃ、はじめましょうか。ゆきちゃん」
由紀「はーい。三年生、永井圭君」
永井「は?」
ぴん、と伸びた由紀の手には卒業証書があった。永井の本名が達筆な文字で書かれ、巡ヶ丘学院高等学校における全課程を修了した旨の文も勝手に書かれていた。
永井「なんだよ?」
由紀「卒業証書だよ!」
胡桃「おまえも高校くらい出ておきたいだろ」
永井「こんなのなんの証明にもならないだろ」
由紀「細かいことは気にしちゃダメだよ! これを受け取らないと卒業旅行には参加できないからね!」
美紀「ここは受け取っておいたほうが早いですよ、先輩」
悠里「ちゃんと両手でね」
周囲に囃され、永井はしぶしぶ卒業証書を受け取った。証書の四隅それぞれを永井と由紀の指が挟んだ瞬間、シャッターを切る音が聞こえてきた。見ると、美紀が手に持ったポラロイドカメラから、永井の卒業式を見事に画面に捉えた写真が吐き出されていた。四人は写真の出来映えに満足気だった。永井の刺すような視線を感じた美紀は、機先を制すように言った。
美紀「だって、卒業アルバムに永井先輩の写真がないとさみしいじゃないでか」
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