過去ログ - ゆき「亜人?」
1- 20
559: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/11(日) 00:24:07.97 ID:e9pvm4lpO
銃弾は、生命維持装置の上を通り過ぎ、装置の真上にある壁にちいさな穴をあけた。意志的な力を失い、残された運動は、重力によって床に接地するだけになった死者は、まるで壁にあいた穴に吸い込まれるように、身体をぐにゃんと傾け、生命維持装置めがけて倒れこもうとしていた。


下村「あっ」


下村のIBMが、弾かれたように倒れこむ死者にむかって接近する。宙に投げ出された死人の手を、IBMの黒い手が掴もうとする。アクション映画なら、死人が落ちる先に、床は存在しない場面だった。IBMの手は間に合わなかった。死人は、生命維持装置を巻き込みながら床に倒れた。直後、病院の灯りがすべてついえて、すぐそばにいたはずの婚約者の姿が、戸崎の目の前から消えた。下村は、それからあとのことは思い出すのをやめた。


下村「わたしは、もう、だれも死なせるつもりはありません」

戸崎「……そうか。下村君、改めて感謝する」

下村「いえ」


戸崎がドアを開けた。部屋はまるで病室のようだった。ベッドのうえには、ひとりの少女がいて、三つ編みをふたつ垂らして、身体を起こしている。その少女は、部屋に入ってきた戸崎を見て一瞬ひるんで顔をふせたものの、見覚えのある下村を見て、すこしだけ緊張がほぐれたようだった。


戸崎「永井慧理子さん」


戸崎は、ベッドの上でまだ顔をふせがちな少女にむかって呼びかけた。


戸崎「あなたのお兄さんの行方がわかりました」


永井慧理子と呼ばれた少女は驚き、戸崎と下村の方へパッと顔を向けた。


戸崎「あなたに協力してほしいことがある。われわれには、どうしても永井圭の力が必要だ」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
584Res/446.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice