過去ログ - ゆき「亜人?」
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569: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/23(金) 23:05:43.69 ID:m50+y+cIO

琴吹は昔の友達のことを思い出していた。自分が亜人だとわかるまえのことで、琴吹が恩を与えた相手だった。琴吹が海斗にその友達のことを話したことはない。これからも話すつもりはなかった。おそらく、もう死んだであろうそいつのことなど、琴吹にはもうどうでもよかった。

琴吹は潰れたタバコの箱から一本取り出しそれを海斗に手渡した。海斗は琴吹から受け取ったタバコを口に咥えてからコンロを付けると、青い円を形作る火にタバコの先を近づけた。タバコの先端が赤く光り、そこから白く細い煙が立ち昇る。細煙は電灯の光を受けとめ、みずからの白色と電灯の黄色い光を調和させ、はちみつのような淡い色を生み出していた。

琴吹は自分のぶんのタバコを取り出した。口に咥え、火を付けようとするのだが、そのタバコは湿気っていて火が付かなかった。琴吹はそれをスクリーンの外の闇に投げ捨てから、もう一度箱の中身を見た。さっきのが最後の一本だった。琴吹はタバコの箱を握りつぶし、仕方なくぬるくなったコーヒーを啜った。その様子を、吐き出した紫煙越しに見ていた海斗は、右手の人指し指と中指のあいだに挟んでいたタバコを左手の親指と人指し指で掴み、手首を捻って吸い口を琴吹に向かって差し出した。



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