過去ログ - 二宮飛鳥「ボクに与えられたヒカリ」
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13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/18(金) 03:27:54.37 ID:o/fyLIiF0
「…ボクに何の用ですか」

「まぁ、そう構えないで。…隣、座っていいか?」

「……どうぞ」

するとスーツの男性は躊躇なくボクの隣に座ってきた。
…中学生の女の子の隣に躊躇なく座られれば、構えるのは当たり前だろ。

「いつもここで読書しているんだな、君は」

「…ええ、まぁ。落ち着くんで」

「今もだが、怖い表情をしている。何か、あったのか?」

「あぁ。…色々と、ね」

相当不満やストレスが溜まっていたのだろう。
ボクはその素性の全くわからない男性に、色んな不満をぶちまけた。
日々の生活の事、学校の事、理不尽な世界の事。
話せば話すほど、その言い方は男性に向かって吐き捨てるようになっていった。

気づけば夕暮れ。
ボクはようやく言いたいことを全て言い切った。

「…はぁ、っ、…はぁ…。」

「…よく耐えたな。お前は偉い。そして強いよ。」

偉い?強い?…おかしいな。
こんな、知り合いでもない男性に自分の不満を全部話して。
途中で何回も涙ぐんで。
それでも、自分の思いを話して、話して、話して。
そんなに簡単にボロボロと出てくるボクが、強いわけがない。偉いわけがない。

「…ボクはそんな大そうな人間じゃない」

「いーや違う。お前は強いんだ。強くなきゃ、お前みたいなところまで耐え続けるのは難しいだろう」

「…そんなもの、なのかな」

「そんなもの、だよ」

…そうか。
ボクは、早く楽になりたかったんだ。
ボクの気持ちを、みなそのままに受け止めてくれる人が欲しかった。
簡単な事こそ、簡単に気づかない。
そんな言葉を聞いたことがあったが、そのとおりだな。

「…そんな強いお前に、一つ提案があるんだ」

うつむいて、涙を拭っていると、男性は突然名刺を出してきた。

「…アイドルの…プロデューサー?」

「あぁ、そうだ。さっき、お前はこんな理不尽な世界は嫌だと言っただろ?
それなら、新しい「セカイ」に踏み出せばいいんだよ」

「新しい……「セカイ」…?」

「あぁ。それに、今のお前とは全く違う、新しい自分にもなれる!キラキラと輝けるんだ!」

「キラ…キラ…」

プロデューサをやっているその男の言葉1つ1つに、想像できないような魅力を感じた。
キラキラ。輝く。全く違う自分。理不尽な世界から、新しい、輝けるセカイへ。
それを語る男性の目はとても輝いていて、楽しそうで。

「…ボクにも、輝けるのかな」

気づいたときには、その言葉を口にしていた。
するとそのプロデューサーの男性は、ボクの手に名刺を差し出し、こう言った。

「輝けるかどうかはお前次第だ。しかしアイドルの世界というのは、今のお前の感じている「世界」とは
違う。アイドルの「セカイ」は、お前の今よりもずっと、楽しいぞ!」

ボクはその言葉を聴きながら、名刺を受け取った。
受け取ると、男性は残りの仕事をしなきゃと帰ってしまった。
しかしその去り際に、

「アイドルになりたい、そう決意したならその名刺の番号にかけてくれ」

と言葉を残した。


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