過去ログ - 二宮飛鳥「ボクに与えられたヒカリ」
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21:名無しNIPPER[sage saga]
2016/03/27(日) 03:35:02.67 ID:koBGANTd0
「…君は確か…」
ボクは呆気にとられた。
なるほど「元気」という言葉がよく似合うアイドルだ。
しかし夜、まぁよく元気に活発にいられるものだ、
ボクにここまでの元気さは体を絞っても出ないだろう。
「うん、私もつい最近アイドルになったんだ、よろしくねっ☆」
あぁ、ウィンクが眩しい。
例えるならそう、太陽だ。
夜に昇る太陽とはこれいかに…っと、そうじゃない。
ボクはぼうっとしていた頭をなんとか起こす。
「あ、あぁ、智香…かな、よろしく。…で、ボクに何か用かい?」
「実は…飛鳥ちゃん、ここに入ってきてからずっと元気ない様子だったから、心配になっちゃって様子を…」
あー、そこまでオーラが外に出てたのか。それならば1人は心配する人が出てきてもおかしくない。
「そうだったのか、わざわざ心配かけてすまなかった。ボクは大丈夫だから」
そういったボクの声は、自分でも驚くほど生気の感じられない声だった。
と、なると当然智香は…。
「飛鳥ちゃん、全然大丈夫じゃないよそれ!なんとか元気を出させなくちゃ…あ、そうだ!ちょっと待っててね!」
風のように部屋を出て行く智香。
・・・なんていうか、全てが眩しいな。
さっきも思ったけど、やはり彼女は「太陽」だ。
彼女の元気さに面くらってぐったりしていると、智香が戻ってきた。はやいなぁ。
「飛鳥ちゃんお待たせっ!これ、私も使ってるアロマだよ!どうぞ♪」
智香が渡してきたのはアロマポッドだった。
花びらの形をしており、それに繋がっている太い紐が香水を吸って花びらが色付きながら香りを楽しめるというもの。
「・・・ありがとう。大切にするよ。あと、もう一つ」
「ん?何かな?」
「ボクのことは、心配しなくていいから」
もう彼女を心配させまいと言った言葉。
智香の顔を見ると、彼女はとてもやりきれないという表情をしていた。
おそらく心配事がなくなったので安心したのと、
本当に大丈夫かなという不安の混じりあった表情。
「・・・そっか、もう大丈夫だよね。・・・本当に、大丈夫だよね・・・?」
うう、上目で言われたら、なんだかこのまま帰ってもらうのも申し訳なく感じる。
・・・でもたまには、夜に人とお話をして過ごすというのもまた一興、かな。
「・・・ごめん智香、このまま1人じゃ心細いから、消灯時間までお話しないか?せっかくだし、親睦を深めようじゃないか」
「・・・・・・!」
そう言うと、智香はみるみるうちに笑顔になった。
なるほど、彼女は世話を焼きたいのか。面白いなぁ。
なんだか心がほっこりとした。
よかったよかったとホッとしていたら、突然手を握られた。
「あのっ!お話なら、アイドルになる前の話しませんか?私、アイドルになる前はチアリーダーをやってて―」
「あぁ、・・・うん、・・・そうなのか・・・」
話の勢いが強すぎて、相槌しか打てないような会話をボクたちは消灯時間まで交わした。
ボクは話を聞いているとき、こちらまで楽しい気分になっていた。
こんな初めての感覚を感じさせてくれる智香を、きっとボクは気に入ったのだろう。
「これからも頑張ろうね、飛鳥ちゃん♪」
「うん、互いに高め合っていこう・・・!」
ボクたちは互いに固い握手を交わした。
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