28:人外好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2016/03/30(水) 16:19:56.18 ID:8mduaUid0
家に鍵をかけて外へ出る。7階から遠くを見てみたが目の届く範囲にはいないようだ。
はやく探さなければ。
エレベーターを使わずに階段を駆け下りて1階まで行く。1階につくころには息が上がっていたが構わず僕は駆け出した。
あてなんかない。ただひたすら外を走り続けるしかない。
街中ではアンドロイドがたくさんいるけれど僕のアンドロイドは見つからない。いつも行っているはずのスーパーにもいない。
路地裏、駅のホーム、地下鉄、住宅街、いつもの喫茶店。
街中を探し回った。いるはずもないと思ったところも一応行ってみた。
でもいない。見つからない。
もしかして浮浪アンドロイドとしてつかまったのだろうか。
いや、それならば僕に連絡が来るはずだから違う。
あと探していない場所は―――
着信音。5年ほど前に流行った曲があたりに鳴り響いた。
誰がかけてきたのかも見ないままに僕は慌てて携帯にでた。
「はいもしもし!?」
「どうした稔、そんなに息を切らして。取り込み中なのか?」
「あ、恭平。どうしたの?」
「どうしたのではない。もう夕方をとっくに過ぎて太陽が沈みかけているのだぞ。時計を見ろ、時刻はもう6時をこえ、7時に指しかかろうとしている。俺はお前が来ないなと数時間も家の中で待っているのだぞ!? 夕飯も食べていない!」
「ご、ごめん。あ、でも緊急事態なんだ!」
「緊急事態ぃ?」
恭平に今までのことを話すと、恭平は深く長いため息をついた。
「そんなもの携帯で居場所を確認すればいいだけだろう」
「あ」
失念していた。アンドロイドには行動ログとは別に現在位置を発信する機能がある。だから今アンドロイドがどこにいるのかを調べることができるのだった。
「ありがとう恭平!! それじゃ」
「あ、おい、ま」
携帯を切りアンドロイドのアプリケーションを開く。位置情報と書かれたところをタッチすると数秒ののちに地図が開いた。
その地図に示されている現在位置は
「川?。いやこれは橋か」
僕がいる街と隣町を隔てる大きい川。
そこにかかる橋にアンドロイドがいるようだ。
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