40:人外好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2016/04/15(金) 12:54:34.20 ID:KagV6dsT0
夢は見なかった。
おそらく、今日一日であったことが整理しきれずにパンクしたんだろう。夢を見るのが好きな僕は目覚めたときに少しがっかりした。
もしかしたら今までの出来事が実は夢なんじゃないだろうかとも考えたが、寝るまでの記憶ははっきりとあったのでおそらく違うだろう。
僕の寝相によって床に落ちた布団をベッドの上に投げ、パジャマの上を脱ぐ。
僕の部屋においてある姿身があまり厚くない僕の胸板を映していた。
僕の体は同年代のそれと比べて貧弱といえるだろう。なぜなら僕は今まで本しか読んでいない。
いや、本しか読んでいないというと語弊があるけれど、青春のほとんどを本に費やしてきた。
高校生までは基本市営の図書館にいたし、大学生の時は大学の図書館に入り浸っていた。
ついたあだ名は図書館の主。おそらく嘲名だろうけど実際誰よりも図書館の蔵書について詳しい自信はあったからそれほど気にはしなかった。
クローゼットの中から白いシャツと黒のスラックスを取り出す。ファッションセンスのかけらもない格好だけれど、笑ってくるような知り合いはいない。
パジャマの下を脱いでベッドに放り投げ、シャツを着る。素肌に少し冷たいシャツが触れ、背筋を震わせた。
ゆったりと時間をかけ着替え終えると僕はまずカーテンを開け、外の景色を見た。
体内時間を合わせるためでもあるけれど、僕は高いところから見下ろすこの街が好きだ。
海は朝日を反射してきらきらと輝いているし、海沿いの道を走るスクーターの行く末を見守ることもできる。
まるで動く絵画のようなこの景色はいつ見ても飽きることはない。
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