過去ログ - 強い想いがあったなら
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22:名無しNIPPER
2016/03/20(日) 20:55:29.06 ID:r/YI2ILr0
「ふぅ・・・・・・」

 幽霊の体とは違って、人の体は、重力を感じるし、何かに触ることもできるし、誰かと話すこともできる。
 でも、彼の体を乗っ取るわけにはいかない。
 僕はキッと前を見る。

「夏美、信じることはできないだろうけど、僕だよ。春樹だよ」
「はるき・・・・・・くん・・・・・・?本当に、春樹君なの?」
「あぁ。春樹だよ。梅原 春樹だよ」

 夏美は目から涙を流し、僕の、秋人の、顔を見る。

「僕は死んでから、幽霊になったんだ。この世に、未練があったから・・・・・・」
「未練・・・・・・?」
「夏美。僕は、君の方が好きだよ」

 僕は彼女の手を握り、そう言う。
 彼女は頬を赤らめ、「私も、私もだよ・・・・・・」と言う。
 それと同時に涙が溢れだすので、拭ってやる。
 本当はずっとこうしていたいけど、時間がないんだ。

「夏美。僕にはもう時間が無い」
「えっ・・・・・・」
「僕の未練っていうのはね、君に幸せになってもらうことなんだ」
「私に、幸せに・・・・・・?」

 彼女は涙で潤んだ瞳で僕を見る。
 本当なら、この瞳に映り込む顔が秋人のじゃなくて、梅原 春樹の顔なら、もっといいのに。


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