過去ログ - 【ラブライブ!】ことり「恋宮殿に誘われ」海未「乙姫心で抱き締めて」
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104: ◆qpwZInm6fw[saga]
2016/03/21(月) 22:31:41.38 ID:Iu0OxYCO0
 さくり。さくり。

 足を踏み出すと、お庭に敷かれた砂利が小気味良い音を立てる。
 その音がなんだか面白くて、耳を楽しませる為に足を前へと運んだ。

 庭を一直線に横切って、敷地を囲う塀までやってきた。
 身長の倍程ある塀の肌に手を当ててみると、ひんやりした硬い感触が返ってきた。
 見上げると、塀を境界線とした向こう側には、本物の海水が支配する領域が広がっている。


ことり(塀から出たらどうなるんだろ……海水が満ちてるから、溺れちゃうのかな)


 宮殿の外へと一歩出た途端。
 重力の支配から解き放たれ、ふわりと体が水中に浮く。
 服に水が染み込んで、口を開けば行き場を求めた海水が流れ込み、私の気道を塞ぐ。

 ―――苦しい……。

 もがいても息はできない。
 さっきまで身を置いていた楽園の安息を求め手を伸ばしても、浮かぶ体は意思に反して、宮殿からどんどん離れてゆく。
 水中で無力の私は為す術もなく、そのうち呼吸が止まり、体の動きも止まり、躯となった私の体は海を漂い、やがて泡となって弾け、跡形も残らない。


ことり「……ふっ…………ぅ…………っ」


 未来視みたいな映像が一気に脳内に流れ込んできた。
 体が震える。
 塀に添えていた手を離して、冷たくなってしまった掌を、ギュっと体で包み込んだ。


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