過去ログ - 【ラブライブ!】ことり「恋宮殿に誘われ」海未「乙姫心で抱き締めて」
1- 20
61: ◆qpwZInm6fw[saga]
2016/03/21(月) 22:06:46.13 ID:Iu0OxYCO0
ことり「…………涼しい……」


 ポツリと投げた呟きが、どこまでも続いていそうな海の底、宵闇の向こうに吸い込まれていく。
 私の声は海の果てまで届きそうで、誰にも届きそうにない。

 部屋から出て、縁側と内廊下を通ってトイレに向かって。
 人心地付いてから、中庭と海を見渡せる渡り廊下にやってきた。


ことり(日が昇って、明るく映る龍宮城の景色は勿論綺麗だけど)

ことり(夜には夜の美しさがあって、ホント、どんな時も素敵な場所……)


 お庭の至る所に生えている珊瑚礁は、それ自体が赤い光を発していて、敷地内を華やかに彩っていた。
 珊瑚の光にぼんやりと照らされた塀の向こう、海の領域では、小さな泡が浮かんでは消えて、消えては浮かびを繰り返し。
 夜には夜の生物が目を覚ましたとでもいうように、日中見ることのない生き物がゆったりとした動きで海中を漂っている。

 色の変化、動きの変化、それぞれの流れが昼間よりも緩やか。
 時の経過そのものが遅くなってしまったみたい。

 静かに過ぎゆく時間に呑まれて、いつまでも飽きることなく眺めてしまう。
 ここは、海の底にある、御伽噺の世界だった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
526Res/410.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice