過去ログ - 杏「夜が告げる」
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18:名無しNIPPER[saga]
2016/03/22(火) 01:48:57.90 ID:w8NWr5C/0






あの日。目が覚めた時、彼は杏を抱きしめたまま眠っていた。
体の暖かさは無機質な冷たさに変わっていて、彼の硬い腕を枕にして何度も二度寝をしようとしたけれど、眠れはしなかった。
悪夢さえ訪れることはなく、微睡むことすら許されなかった。

それでも無理やり目を閉じていたら、欠伸ばかりが吹き上がってきて、退屈と寂しさが雫になって流れていく。
後にも先にも、プロデューサーのことで涙が出たのはこの瞬間だけだったかもしれない。
あの時以外で泣いたことは、おそらくない。


「そうだねぇ、杏ちゃん、つおい子だもんねぇ」

「うぐっ……そ、そうだよ……」


猫のように笑う彼女の表情の裏には、隠されてるものがありそうで不安になる。
誤魔化すように周りの景色を見れば、そこはピンクや黄色のふわふわでいっぱいに囲まれていて、かつてのきらりんルームを思い出して今度は怖くなってしまった。
そのファンシーな空間の中で笑う彼女はなんだか部屋の一部みたいだ。ふわふわの中では杏とボロボロになったうさぎのぬいぐるみだけが浮いている。


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