過去ログ - 前川みく「ハンバーグが鳴く頃に」
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15: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 11:49:33.45 ID:6MxfTFCf0
「うぅ……」
そうして、蘭子が小さく呻きを上げる。
なるほど、ここに来てようやくみくにも、彼女が何を悩んでいたのか合点がいったのだった。
さて、神崎蘭子という少女をよく知らない人のために、ここで一つ、彼女の嗜好について説明をしておかねばなるまい。
普段から装飾の入った日傘を持ち歩き、フリルのあしらわれた黒いゴシック系の衣装に身を包む彼女の姿を見れば、
多くの人はこう思うだろう。「あぁ、彼女はダークでホラーでどよどよした雰囲気の物が好きなんだ」と。
だが、実際の蘭子はその逆。
普段の言動によって誤解されがちだが、彼女の好みはどちらかと言えば魔法や精霊が中心のハイファンタジー寄りであり、
その反対、ショッキングやバイオレンス、スプラッタが「売り」であるダークファンタジーとは、根本的に相容れないのだ。
むしろ、それらの要素は彼女の盟友、白坂小梅の担当と言えたが……今回の話とは余り関係ないので、ここで多くは語るまい。
――再び、話を戻そう。
くだんの洋食屋はこの雑木林を抜けた先にあるというので、みく達はそのまま林の中に足を踏み入れる。
だが、この雑木林の中は昼間だというのに、まるでホラー映画の舞台のように陰鬱で、重苦しい雰囲気に包まれていた。
それもこれも、この先にあるというレストランを蘭子に紹介したのが、
オカルトホラーが大好きな小梅だと聞けば、自然と納得ができる。
今は二人だが、一人でこの道を進めと言われたら……蘭子ほどではないが、やはりみくも女の子。
できるならば、余計な怖い思いはしたくない。
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