過去ログ - 「奇奇怪怪、全てを呑み込むこの街で」
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11:名無しNIPPER[saga]
2016/03/23(水) 22:18:20.74 ID:B98e+kjh0
「おっ、やっと帰ってきた。さーて、何色かな?」

「おっと、まだウィルオウィスプを消すなよ? 10秒後に消すんじゃ。一気にな」

「はいはい」

男がぱちんと指を鳴らすと、その炎――ウィルオウィスプは、一瞬で消えうせました。

炎が消え、その石の色が露わになります。

「――赤……!」

「ひっひっひ……ワシの勝ちのようじゃのぉ」

「クソ……当たる確率なんてほんの少しだってのによ……!」

「また勝ってしまったわい……ひっひっひ」

「……ちっ、持ってけ泥棒!」

男は再び酒の瓶を乱暴に投げました。老人はどこ吹く風と言った感じで軽々と受け止めます。

「ひっひっひ……ああ、人からタダで貰う酒は美味いのぅ」

「……けっ」

どうやら、男が持っていたのは、ケルベロスの魂の一部を封じ込めた魔石のようですね。

持った人間の感情を喰らい、最初は嫌な感情のみを喰っていくのですが、だんだん楽しい感情なども喰らっていき、最終的には所有者の思考や命を喰らい尽くしてしまう、闇のアイテムです。

この魔石は、喰らった人間の個体差により、内部にさまざまな色の魂の炎を灯します。

これはそれを当てるお遊びだったようですね。

「ほら、そんなに拗ねるな……これでも飲んでろ、若造」

「んだよ、酒自分のあるじゃねえか……がはっ!?」

老人から渡されたそれを口に入れた瞬間、男の口に電流のようなエネルギーが走ります。

「て、てっめぇ……盛りやがったな!! 鬼ガジュマルの根の秘薬が入ってるじゃねえか!!」

「ひっひっひ……!! 刺激的じゃろ? 魔力も一気に回復じゃ」

「この刺激に耐えれるのはそういねえだろうが……ああ喉がイガイガする」

男はそう言いつつも、あまり怒ってはいないようです。老人のイタズラには慣れているのでしょうか。秘薬が入った酒を一気に飲み干します。

「さて、次はどうするかのぉ……? ひひひ」

「薄気味悪いジジイめ……」

満月が「イサクラ」の中央に浮かび上がります。狼がどこかで大きな遠吠えを上げ、彼らはまた、座り込んで博打を始めるのでした。


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