過去ログ - 「奇奇怪怪、全てを呑み込むこの街で」
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35:名無しNIPPER[saga]
2016/03/28(月) 17:19:47.52 ID:sXdiIkwT0
此処はネオン街に存在する、「イサクラ」でもトップクラスの巨大カジノ。ギラギラとした明かりが昼夜構わず街を照らす、数々の大物が集まる場所です。

中では真っ赤なカーペットが中央を陣取り、周りにはトランプゲームやルーレット等の台が並んでいます。

その中央の高台には、カジノの守り主であるガーゴイルが常に見張っており、どんな不正も許しません。

さらに、このカジノでは、擬態以外の全ての能力を封じる、超巨大な魔法陣が刻まれています。如何なる者でも、イカサマは出来ません。

……おや、そのルーレット台の中に、見覚えのある大きな背中が見えますね。

「ベットはどうなさいますか?」

ベルを鳴らした無表情のディーラーが、男に告げます。

男はすでに他のゲームでボロ負けしており、すでに賭けに使えるチップは、ごく僅かでした。

赤か黒か、奇数か群数か――男は残りの残金を頭に入れ、真剣に頭を悩ませます。

縦一列や大中小で当たった所で、減った分は取り返す事が出来ない。男は覚悟を決めました。

「黒の17番……一目賭けだ……!!」

「かしこまりました」

どうやら、17番一つだけに絞ったようですね。確率は少ないですが、当たれば大きいです。男は全てのチップを差し出しました。

銀色のボールがホイールを回り始めます。その速度に反応し、自然と男の心臓の鼓動が高まっていきます。

ボールが回って少し経過しました。ディーラーがベットの終了を宣言します。

「ベットの変更は、これで終了となります」

「……ああ」

男は返事をし、ベルを二回鳴らしました。もう後戻りは出来ません。

(……来い、来い……!!)

ボールの速度が摩擦によって殺され、だんだんと遅くなってきました。何度もかちん、かちんと目に弾かれ始めます。

(……来い!!)

そして、運命のボールは、ついに目に収まりました。その数字は――

「黒の17番……おめでとうございます」

「――よっし……!」

ディーラーは感情を感じさせない声色で、淡々とそう告げます。

ガッツポーズをとる男の目の前に、次々とチップが重ねられます。ギャンブルで勝ったのは、いつぶりでしょうか。

全てを金貨と宝石、少しの酒に換金した男は、意気揚々とカジノを後にしました。


後に彼が老人に大敗し、その半分を持っていかれるのは、また別のお話。


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