51: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:29:49.86 ID:vxIFxQsM0
その日、すべてを終えて事務所に帰りついたときには、午後十時をまわっていた。
荷物を置くなり、普段は近寄ることさえしなかったソファに腰掛けた彼女を見て、どう声を掛けたものかと少し悩んだ。
52: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:30:57.48 ID:vxIFxQsM0
P「そうだな。俺も客席で見ていて、ミスはなかったと思う」
P「それに、前川さん、だったか、彼女のライブも見たが、正直なところ完成度でいえばお前の方が上だった」
53: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:33:03.46 ID:vxIFxQsM0
のあ「……楽しい、とは、」
P「言った通りの意味だ。楽しみながらアイドルができているか?」
54: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:37:51.94 ID:vxIFxQsM0
P「……俺はな、高峯。お前が心配なんだ」
P「お前がトップアイドルになりたいという気持ちはわかる。そのために努力を欠かしていないことだって、」
P「常に意識を強く、高く持ち続けているのは、たしかに評価するさ」
55: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:42:02.80 ID:vxIFxQsM0
P「しかし、俺が楽しめと言ったからといってすぐに楽しめるようなら苦労はないが、恐らくそれは難しいだろう」
P「俺がお前に願いたいのは、もう少し心を開いて、周りのみんなと接してほしいってことだ。そこからでいい」
56:名無しNIPPER[saga]
2016/03/25(金) 02:47:29.92 ID:vxIFxQsM0
表ではそう言いながら、内心で俺は自分自身に吐き気がした。
どの口がそんな綺麗事を抜かしやがる。
57:名無しNIPPER[saga]
2016/03/25(金) 02:49:30.02 ID:vxIFxQsM0
彼女はまた暫く黙りこんで、やがて小さく頷いた。
のあ「……努力してみる」
P「うん、」
58: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:52:46.87 ID:vxIFxQsM0
P「喉、乾かないか?」
戸棚を開けながら声をかける。
P「インスタントコーヒーでよければ、一緒に淹れてやろうか」
59: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:53:42.96 ID:vxIFxQsM0
それからのプロデュースは、怖いくらい順調に進んだ。
ファーストシングルの売れ行きが想定していたよりも遥かに多く、音楽番組に出演する機会が増えた。
60: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 02:54:43.03 ID:vxIFxQsM0
最初に彼女に興味を示したのは、年少組のアイドル達だった。
まず佐城雪美という少女が彼女に懐き、ぎこちなさはあれど二人がコミュニケーションをはかれているのを見た他の娘が、次々に彼女に話しかけ始めた。
61: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:00:16.40 ID:vxIFxQsM0
それをきっかけに、緩やかにではあるが高校生組や大人組との交流も深まっていった。
彼女は別に、自発的に話そうとしないだけで、言葉も通じれば、冗談だって話すのだ。
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