13:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 20:40:29.15 ID:0/GHUJB/0
「チーノちゃんッ、ふふふッ」
後ろから抱き付いてくる。
「邪魔です危ないです。……邪魔です」
14:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:09:12.65 ID:0/GHUJB/0
見惚れたと言っても、笑顔にということで、
決してココアさんに見惚れたとかそう言うことではない。
朝の時間は多少ココアさんのせいでバタつくことになった。
軽い言い合いをしながら、駆け足気味で二人別々の学校へ向かった。
15:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:23:06.08 ID:0/GHUJB/0
HRでは案の定その子の話題となった。
先生の話では、家庭の事情で引っ越しするらしかった。
本当の所は分からない。
その子に聞いてみでもしないと。
けれど、自分の親のことを根掘り葉掘り聞かれるのはきっと嫌だと思う。
16:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:32:33.00 ID:0/GHUJB/0
いつの話をしているのか、記憶を遡ろうとした。
けれど、すぐに彼女がもっとこちらの度肝を抜くような事を言った。
「あんた、変わった。最近楽しそう。いいね、羨ましい、羨ましくて、羨ましすぎて憎い。あんたも同じようになっちゃえばいいのに!」
17:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:46:06.00 ID:0/GHUJB/0
教室に戻ると、その子は早退していた。
マヤさんにもメグさんにも、制服がビショビショになっていることを言及された。
とっさに、顔を洗ったらかかり過ぎてしまったと話した。
二人とも心配しつつ、呆れながら笑っていた。
18:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 21:53:30.09 ID:0/GHUJB/0
駆け寄って抱き着こうとしてきたので、下方に避けた。
「うええ?」
困惑顔。
19:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:06:11.66 ID:0/GHUJB/0
「私が聞いてもいいことかな?」
柔らかく笑う。
そっと、私の手を握りしめた。
けれど、私は首を横に振った。
20:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:15:34.36 ID:0/GHUJB/0
その夜、目を閉じてから暫く寝られなかった。
その日、月は空のずっと上の方にあった。
窓からは見えない。
ちょうど天上の真上あたり。
それを思い描きながら、目を瞑り続ける。
21:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:30:01.00 ID:0/GHUJB/0
空の向こうの世界は、太陽よりも月よりももっとずっと遠くにあって。
朝が来ても夜が来ても、何度日が巡っても、決して私のいる場所と混じり合うことはない。
この木組みの街は、幸せに溢れている。
それに憧れて来る人もいれば、手にできずに去る人もいる。
母は、手にして去っていったのだろうか。
22:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:44:14.14 ID:0/GHUJB/0
どうして普通に笑えるようになったのか。目の前のココアさんに笑顔になって欲しかったから。
どうしてもっと人に頼るようになったのか。目の前のココアさんにもっと甘えられるようになりたかったから。
まるで、初めからそうだったみたいに。喧嘩なんてする暇もないくらいに、本当は彼女のことをもっと知りたい。
お姉ちゃんが欲しいと思ったことはあった。でも、少し違う気がする。
23:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 22:49:47.98 ID:0/GHUJB/0
「私、わがままですよね」
「私はそれが嬉しいんだけどね」
「そう……なんですか」
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