過去ログ - 的場梨沙「アタシがオトナになったら」
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◆C2VTzcV58A
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2016/03/26(土) 02:06:06.08 ID:GETe3jbrO
地の文ありの的場梨沙ちゃんのSSです
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ss.vip2ch.com
2
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:07:32.10 ID:GETe3jbrO
アタシはオトナが好きじゃない。
なんでかって聞かれると……そうね。偉そうだし、頭固いし、意見をごまかすし。あと上から目線だし。……あれ、偉そうと上から目線って同じかな? まあいいか。
アタシを子どもだと思って、やりたいことをさせてくれない。「危ないからダメ」だとか「無理だからあきらめなさい」だとか。
以下略
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:09:42.84 ID:GETe3jbrO
オトナは嫌いだけど、パパとママは好き。特にパパは大大大好き!
かっこいいし、なんでもできるし、あと優しいし! アタシ、将来は絶対パパと結婚するって決めてるの。
そんなパパが、テレビに映ってるアイドルを見て「かわいい」って言った。
つまり、もともとかわいいアタシがアイドルになれば、もっとかわいくなって、もっともっとパパが喜んでくれるに違いない。
以下略
4
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:11:05.12 ID:GETe3jbrO
「じゃあ、アイドルやってみる?」
しかも、理由を話したらあっさりうなずいてくれた。フフン、なかなか見る目あるじゃないのよ、こいつ。
なんて思っていたら、そいつ……プロデューサーは、アタシの顔を見てにこにこと笑いだした。……ちょっと馴れ馴れしいんじゃないの?
以下略
5
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:13:52.17 ID:GETe3jbrO
そうして、アタシはまたたく間に大人気アイドルになって……ということにはならなくて。
「今日は午前中にダンスレッスンで、午後からボイストレーニングの予定だ」
以下略
6
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:16:19.51 ID:GETe3jbrO
「梨沙」
「な、なによ」
どんなふうに怒られるんだろう。上から目線のお説教は、好きじゃないんだけど。
以下略
7
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:19:55.52 ID:GETe3jbrO
「梨沙はセンスがある。ダンスはもともと得意だし、歌だってどんどんうまくなってる。才能があると思うよ」
「い、いきなりなによ。そんな当たり前のこと」
「けど、どれだけ才能がある人でも、最初は地味な仕事やレッスンから始めるんだ。ちゃんと練習して、心の準備を整えて、100パーセントを出しきれるってところまできたら、そこでようやく輝くステージの上に送り出される」
以下略
8
:
◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:21:12.83 ID:GETe3jbrO
「梨沙が頑張っている姿、ちゃんと写真に撮ってお父さんにメールしておくから」
「うん……プロデューサー」
「ん?」
以下略
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:22:37.36 ID:GETe3jbrO
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それから、レッスンとかいろいろ頑張ったおかげで、アタシは初めのころよりもずっとうまく踊れるようになっていた。
トレーナーは相変わらず注文をたくさんつけてくるけど、だんだんその注文が細かくなってきているのよね。
以下略
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:27:04.05 ID:GETe3jbrO
で、早速衣装を着せてもらったんだけど……
「ね、ねえ……これ、ちょっと出し過ぎじゃない?」
おへそを出しているのはいいんだけど……足の付け根あたりがだいぶ見えちゃってない? アタシこんなギリギリな服、今まで着たことないわよ。
以下略
11
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:28:42.54 ID:GETe3jbrO
「梨沙なら着こなせると思って用意したんだが……」
「ていうか、怒られたりしないの? この露出」
「大丈夫だよ。仮に怒られたとしても、その時頭を下げるのは俺だけだ」
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12
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:29:20.79 ID:GETe3jbrO
ちなみにそのあと、プロデューサーにすぐ捕まって。
「離しなさいよー! おろせヘンタイー!」
「いいか。まずロリコンというのは――」
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13
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:31:50.57 ID:GETe3jbrO
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そして、いよいよ初めてのライブ。アタシの、アイドルとしての本番がやってきた。
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14
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:33:25.17 ID:GETe3jbrO
「というか、あいつどこ行ったのよ。アタシがもうすぐ本番だって言うのに」
最近は毎日見ていた冴えない顔が、今に限って隣にいない。さっき、ちょっと他の人と話すことがあるって言って出ていったきり、まだ帰って来ない。
アタシを置いてきぼりにして……。
以下略
15
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:35:20.68 ID:GETe3jbrO
「梨沙。ほら」
なんて考えていると、いつの間にかアタシの目の前には携帯の画面が。
そこに映っていたのは……え?
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:
◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:37:36.50 ID:GETe3jbrO
「お疲れさま。本当によかった。お客さんも満足してくれたみたいだし」
歌い終わってステージから降りると、プロデューサーがいつもの笑顔でアタシを待っていた。
「へへ……だから言ったでしょ。アタシにできないことなんてないって」
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17
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◆C2VTzcV58A
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2016/03/26(土) 02:40:13.50 ID:GETe3jbrO
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アイドルデビューを果たしたアタシは、それからライブや撮影の仕事をバッチリこなしていった。
やればやるほどファンは増えるし、パパやママもうれしそうに褒めてくれる。
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18
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:42:13.24 ID:GETe3jbrO
「夢があるのはいいことだ。うん」
「……笑わないの?」
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19
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◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:45:15.53 ID:GETe3jbrO
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――的場梨沙という子と出会ってから、気づけばひと月以上の時間が経っていた。
いきなり事務所にアポなしで押しかけてきた彼女。その容姿の良さと威勢の良さを買ってプロデュースすることにしたのだが……結果として、俺の勘は間違っていなかったと今は思える。
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20
:
◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:47:35.11 ID:GETe3jbrO
「梨沙ちゃん、お父さんと結婚するのが夢だって言ってましたっけ」
「ええ。そのうち偉い人になって法律を変えるそうです」
「ふふ、それはすごいですね」
以下略
21
:
◆C2VTzcV58A
[saga]
2016/03/26(土) 02:50:23.16 ID:GETe3jbrO
「梨沙ちゃんも、どこかで受け入れる日が来るんでしょうね。パパとは結婚できないって」
「……でしょうね。叶わない夢だと、諦める時がいつになるのかはわかりませんけど」
ただ、その時には――
以下略
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