1: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:05:02.73 ID:vW26XYea0
※ このssにはオリジナル設定やキャラ崩壊が含まれます。
===
何を考えているか分からないと、よく言われます。
喜んでいるのか、悲しんでいるのか、それとも、怒っているのか。
自分ではしっかりと感情を顔に出しているつもりなのですが、
どうやら私と関わる大多数の人には、そのようには見られてないようで。
それはつまり、気持ちをきちんと相手に伝える事ができてないというわけです。
あぁ、だからいつまでも、「つもり」止まりなのですね。
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2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:06:27.24 ID:vW26XYea0
一人納得をしたところで、私は目の前の鏡に映る、自分の顔を客観的な立場から見つめてみます。
少し毛先に癖のある、当たり障りのない形のショートカット。
眉はキリッと、口元もキュっと引き締めたその表情は、身につけている学校指定の制服のせいもあってか、
3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:08:38.95 ID:vW26XYea0
試しに一度、困り顔を作ってみようと挑戦してみましたが、風紀委員がますます風紀委員になっただけでした。
それはもう、校則破りの常習犯ですら有無を言わさず更生させてしまいそうな程の迫力の。
「……こんな私に、アイドルなんてつとまるのでしょうか?」
4: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:09:21.57 ID:vW26XYea0
===
「それじゃあ、何か注文でもしようか。食べたいもの、あるかい?」
席に戻ると、メニュー表を持って待っていた彼が、笑顔で話しかけてきました。そう、笑顔。
5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:10:43.45 ID:vW26XYea0
彼の眉がハの字になり、口元も少しだけあがる。今度は、少し困った笑顔。
私も真似して口の端を上げてみましたが、窓に映りこんだ自分の顔は、笑顔というよりも。
「……どやぁ」
6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:12:26.39 ID:vW26XYea0
「それで、注文なんだけど。やっぱり女の子なら、パフェとかが良いのかな?」
「いえ、ナポリタンでお願いします……喫茶店と言えば、ナポリタンですから……お約束、です」
7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:13:44.79 ID:vW26XYea0
「それじゃ早速、あー……真壁……えっと」
「瑞希……真壁瑞希です」
8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:15:05.89 ID:vW26XYea0
「あの、すみません。なんだかガッカリさせてしまったみたいで」
「いやいやとんでもない! なにも、そう言ったのも君が初めてってわけじゃないし……」
9: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:16:28.81 ID:vW26XYea0
「ほらね、こんな感じで……だから、実を言うと今も不安でドキドキしてるんだよね。
真壁さんは、ちゃんと話を最後まで聞いてくれそうだから、少し、安心もしてるんだけど」
「……分かりませんよ? 私もその誰かと同じで、途中で帰ってしまうかもしれません」
10: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:17:22.14 ID:vW26XYea0
「な、なに?」
「気にしないで下さい。それよりも、お話を聞かせてもらえますか……興味津々」
11: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/26(土) 15:17:51.04 ID:vW26XYea0
ここまで。
12:名無しNIPPER[sage]
2016/03/26(土) 16:20:33.93 ID:6hg03tNM0
おつー
13:名無しNIPPER
2016/03/26(土) 17:06:58.75 ID:U2XVkixx0
おつおつ
期待
14: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 10:17:35.99 ID:4HWhAH1h0
テーブルに運ばれてきたナポリタンに、銀色に光るフォークを突き刺します。
そうして、くるくる、くるくると巻きつけて。
「それでどうかな、アイドルの件」
15: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 10:19:30.91 ID:4HWhAH1h0
「私は……その、ご覧の通り、無表情ですから。アイドルはもっと、笑顔が似合う人の方が向いてると思うのです」
「まぁ、確かに……むすっとしてるよりかは、笑顔の方が良いけどね」
16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 11:59:40.44 ID:4HWhAH1h0
===
「おやおや、どうしてそんな事を言うんだろうって顔をしてるね」
「そんな顔、してましたか?」
17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 12:00:47.19 ID:4HWhAH1h0
私は、自分の胸に手を当てて考えます。
フィルター、それが私の心が表に出るのを、邪魔しているのでしょうか。
「トイレから戻って来たときの、君のドヤ顔」
18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 12:29:36.32 ID:4HWhAH1h0
すぐには、何も言えません。頭の中は疑問で一杯。
まとまらない考えは、ぐるぐると胸の中を回り続けて。
「……どうして」
19: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 12:31:26.53 ID:4HWhAH1h0
「それでも、僕は君の気持ちが感じとれた。今はそう、いい加減な僕に呆れてるところだ」
「当たりです」
20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 12:33:32.66 ID:4HWhAH1h0
「私も、気持ち……届けられる……かな?」
「君がその気なら、僕は喜んで協力するよ」
21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/27(日) 12:35:24.66 ID:4HWhAH1h0
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短いですが、これでおしまいです。
まかべぇがアイドルになる決心というか、そういう話を書きたかった。
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