過去ログ - 南条光「球と隠し事と知りすぎる罠」
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3:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 17:44:56.19 ID:4tTsYEvS0

ある日の昼下がり、日が高くなってきた頃。

アタシ、南条光は及ばずながらファンの夢とために戦うアイドルとして、友達のテニスボールを回収するべく木に登っていた。

ひょいひょい身体を持ち上げて軟球を確保し、木の上から持ち主の成宮由愛ちゃんの目の前へと身を投げた。

「だ、大丈夫ですか、光さん……!?」

土煙を起こしながら、全身をバネにして着地する。

「大丈夫! 鍛えてるからっ!」

驚き混じりの彼女の感謝に、びっくりさせたことを内心詫びながらサムズアップした。

それから彼女と共に、同じく友人で同僚の佐城雪美ちゃんが待つ社内公園に向かった。

いわく、彼女たちはそこでテニスを楽しんでいて、ゲームに夢中になった雪美ちゃんの必殺スマッシュが運悪く炸裂したのが、今回の事件の真相だそうだ。

それにしても、二人がテニスか。

雪美ちゃんはお人形のように物静かな子で、由愛ちゃんは森の妖精みたいに控えめな子なので、少し意外に感じられた。

「光も……テニス、する……?」

「あー……ごめん、人を待たせてるんだ。誘ってくれてありがと、それじゃっ!」

雪美ちゃんの誘いを断って、社内公園から少し遠く、事務所の第一棟に向かった。

エントランスから巨大な社屋に入り、十階・二十階とゆっくり登ってくエレベーター内で息を整える。

渡り廊下を通過して、アタシを呼ぶ人が待つ部屋に入った。もちろん、社会人の端くれとしてノックは忘れていない。……はず。

部屋の名前はプロデューサールーム。

入り口から見て真正面、デスクの背の壁に貼られた大きなガラス窓によって、自然光を多く取り入れてる部屋だ。

そしてアタシを呼んだのは、アタシの担当プロデューサー。

多くの困難を共に乗り越えてきた戦友で、些細なことでも話せる大切なパートナーで、……お付き合いをさせてもらってる人だ。



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