過去ログ - 南条光「球と隠し事と知りすぎる罠」
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4:名無しNIPPER[saga]
2016/03/27(日) 17:48:52.60 ID:4tTsYEvS0

彼のことは信頼できる職場の相棒だと思っていて、そのままでいいとずっと思っていた。

しかし仕事を重ねて彼のことを知るうちに、尊敬する大人に向けるべきでない気持ちを抱くようになってしまった。

きっかけは、LIVE前の緊張に悶えていた時、彼が隣に座ってくれただけで安らいだときか。

それとも、アタシに向けられた視線がみんなに対してのそれと違うと気付いたときか。

日ごとに膨らむ想いを気取られたくなくて、アタシは気持ちを隠すことを覚えた。

アイドルが恋愛なんて言語道断、誰かを想う資格なんかない。

言い聞かせる言葉の繰り返しで張り詰めた緊張は簡単に崩れ、心よりも先に体に限界が来た。

目が覚めた時、彼の家の一室にいた。仕事の帰りに熱を出しながら意識を失ってしまい、その時一番近くにあった休める場所に運ばれたのだ。

同僚とはいえ男の人のお部屋に上がって、もしこんな姿をパパラッチされてたら――当たり前の想像が胸をよぎった時、感謝と同時に、彼に怒りをぶつけていた。

なんで必死に秘密にしてたことを台無しにするんだ。バレたらどうするとか思わないのか、アタシの苦しさなんかどうだっていいのかと弱々しく叩き、泣きつき、すがりつく。

そんなみっともないアタシを、彼は何も言わず抱き締めて、お互いの気持ちを話し合おうと言ってくれた。

その中で、彼もまたはちきれそうな想いをアタシに抱いてたのだと知って、論点は制御不能な感情をいかに飼い慣らすかに移行していた。

そういう紆余曲折があったのがだいたい四ヶ月前。

今では彼の肩にもたれかかりながら、衣装の資料を一緒に読む関係に落ち着いてる。

……お仕事中に『シたい』なんて約束をして、それに応えてしまう茹だった関係も、兼ねている。

アタシは何度も嫌と言った。けど、彼がどうしてもと聞かないし、尊敬する年上の男の人にそこまで求められる優越感が無いと言えば、たぶん嘘、かもしれない。

「右から順に由愛ちゃん、雪美ちゃん、アタシのか。色違いの衣装は戦隊っぽくてカッコいいな。……けど、これを見せたいだけで呼んだワケじゃない、よな?」

視線の交錯が合図になって、どちらからもなく唇を重ね合った。


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