過去ログ - 【モバマスSS】香水 あるプロデューサーの物語
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名無しNIPPER
[saga]
2016/03/28(月) 23:14:56.14 ID:mPSzAJE90
その日は、穏やかな日差しの昼下がりだった。
大学の図書館には、幾人かの学生の姿が見受けられ、アメリカン・ボザール様式の館内は、学問に対しての誠実さを要求してくるような、森厳な雰囲気を醸成している。
しかし、その一角で交わされている慶と志希の会話は、鴆毒に等しいものだった。外の天気とは正反対に、そこだけ淫雨が降り注いでいるようだ。
「……そんじゃあさ、あたしも連れてってくれない?」
「おいおい、冗談はやめてくれ」
「冗談だと思う? こー見えても、志希ちゃんは大まじめなのだよ」
ニタニタと笑う志希を、慶は呆れ顔で見た。まるで、不思議の国のアリスに登場するチシャ猫のようだ。
この時、既に志希は大学卒業間近であり、てっきりアメリカで化学分野の仕事に就くものだと思っていたから、慶としては青天の霹靂である。
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