過去ログ - 【モバマスSS】香水 あるプロデューサーの物語
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名無しNIPPER
[saga]
2016/03/28(月) 23:15:38.97 ID:mPSzAJE90
そんな慶の内心を知ってか知らずか、志希は机に置いてあったハードカバーを、慶の目線に持ち上げて見せる。
その表紙には、「Das Parfum – Die Geschichte eines Mörders」と記されていた。
「ジュースキントか」
「なんだ、この小説知ってたの」
「原作も読んだし、映画も観た」
「なら話が早い♪」
志希は、卑猥な笑みを浮かべながら人差し指を立て、クルクルと回してみせる。
窓からは光箭が差し、空気中の埃がキラキラと反射され、静謐な図書館を演出しているが、彼女の表情と仕草は、この雰囲気の中では軽薄に過ぎた。
「知ってると思うけど、グルヌイユはね、街中で一目惚れした女性に惹かれ、その体臭を香水で再現しようとするんだ。まあ、のめり込みすぎて殺人とかやっちゃうんだけどね。けっきょく、なんだかんだあって死刑宣告を受けて処刑台に登らされる……」
志希はそこで言葉を切り、首を吊るような手振りをした。
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