過去ログ - 【モバマスSS】香水 あるプロデューサーの物語
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84:名無しNIPPER[saga]
2016/04/04(月) 20:32:31.34 ID:0cF8uTc50
 慶は改めて、部屋の中を見渡した。雑然と物が散らばっているように見えるが、欲しいものが手に届く位置にあるということを、慶は知っていた。
 壁際は殆ど棚で占められており、ラベル付きの壜が所狭しと並んでいる。
 オレンジ、レモン、ローズマリーなどの植物の香油は勿論のこと、鍵付きの棚には麝香、龍涎香、海狸香、霊猫香など、希少な素材が収納されている。
 また、壁に残った僅かなスペースには、ヴァトー作「ユピテルとアンティオペ」の小さなレプリカが掛けられていた。この絵は、「香水」を装丁する際に表紙としてよく使用されているので、志希が飾ったものだろう
 部屋の中央部には幾つかの作業台が並んでおり、それぞれの上に大小さまざまなビーカーやフラスコ、乳鉢、漏斗、小型蒸留器などの器具が置かれている。

 こういう部屋は、妙に居心地が良い。それに酒の肴として、志希と取り止めのない会話をするのは心が休まる。
 志希は集中した顔で、作業を続けている。時折試片を矯めつ眇めつしながら、香りを確かめたりしている。
 一方、志希の隣の作業台の上では、遠心分離機が作動していた。この機械は志希にねだられて買い与えたものだが、本当に調香に必要な道具なのだろうか。



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