過去ログ - 双葉杏「私だけの世界」
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10:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:48:57.47 ID:8K7Ln/29o
「学校か……」

朝起きて、私は憂鬱な気分になっていた。学校は嫌いだ。私を奇特な物を見るような目で見てくるような奴ばかりだからだ。だから、私の周りには誰もいなかった。だけど、休むわけにはいかない。私のたった一つの夢のために。



11:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:50:06.83 ID:8K7Ln/29o
私の夢――。それは医者になって、お姉ちゃんの病気を治療することだ。そのためなら、どんなことだって耐えられた。ネグレクトも、無視も、いじめも、これも夢のために必要なことだって、頑張って耐えた。耐えて耐えて、耐え続けた。


12:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:50:39.66 ID:8K7Ln/29o
お姉ちゃん! 杏、また百点取ったよ」

最近、お姉ちゃんは眠っていることが多くなった。たまにいるお姉ちゃんの家族も涙を流していることが多くなった。時間がない。それは何となく私にも分かった。だから、もっと勉強した。当然成績も上がった。いじめが酷くなった。でも、耐えた。



13:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:51:33.06 ID:8K7Ln/29o
「久しぶりだね……。杏」

お姉ちゃんはずいぶん元気がなさそうだった。私の頭を撫でる手も、もうほとんど力が入っていなかった。涙が出そうになるのを必死にこらえた。



14:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:52:09.47 ID:8K7Ln/29o
「杏ね。あれから一杯百点取ったんだ。だから、いつもの頂戴!」

「おっけー」

震える手で、お姉ちゃんは飴玉を私の口に運ぼうとするが、飴玉をうまく掴めないらしい。
以下略



15:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:52:38.29 ID:8K7Ln/29o
「ごめんね……」

「ううん、いいよ」

あと、何回こうやって会話できるだろう。そんな、疑問が頭の中に浮かんだ。不安が心を支配する。やめろ。そんなこと考えるな。私が助けるんだ。だから、すっとこうやって時間を過ごせるんだ。そうやって、自分に言い聞かせる。
以下略



16:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:53:05.27 ID:8K7Ln/29o
「ねえ、杏。私と会った時のこと覚えてる」

「覚えてるよ」

やめて……。そんな、もうすぐ死ぬ人みたいな話をしないでよ。
以下略



17:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:53:33.23 ID:8K7Ln/29o
「懐かしいなぁ……」

「そうだね」

それは今から、3年くらい前の話だ。私の身長が伸びないことを不審に思った両親に病院に連れられて少しの間、入院したときに隣にいたのがお姉ちゃんだ。両親と違って、私の話を聞いてくれた。初めて、人の温かさというのを感じたのがお姉ちゃんだ。
以下略



18:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:54:02.47 ID:8K7Ln/29o
「初めは、小学生かと思って安心させてあげなきゃって思ったんだ」

「本当、失礼しちゃうよ」

嬉しかった。こうやって話しかけてきてくれるのが。私の周りには誰もいなかったから。
以下略



19:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 16:54:41.99 ID:8K7Ln/29o
「お姉ちゃん」

「何かな?」

私は、椅子から立ち上がってお姉ちゃんの方を向いた。
以下略



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