14: ◆Zo89VSw555MV[saga]
2016/03/31(木) 20:04:48.97 ID:WOjo7pAA0
まだ事務所が小さく、私以外のアイドルは数人しかいなかった時代。
事務所の中では、Pさん以外のプロデューサーさんがバタバタ忙しそうにしていて、落ち着いて打ち合わせをできないからと、よく事務所近くの喫茶店に誘ってくれたものだ。
その頃は、彼と同じコーヒーを頼んで、苦い思いをする時もあった。
「……アイドル辞めてから何か、変わった事はあったか?」
少し話しづらそうに、Pさんは切りだした。
きっと、負い目を感じているのだろう。私がアイドルを辞めるきっかけになったのが、彼の退社であるから。
「ううん。普通の、女の子として生きてるよ。たまに気づかれて、サインをねだられる事とかはあるけれど」
だから私は、冗談のように軽く告げた。
コーヒーを一口すする。口の中に広がる甘みは、安心感を与えてくれた。
「そっか」、と。そっけないながらも、安心したような口調でPさんはコーヒーをぐいと飲み干した。
26Res/14.24 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。