過去ログ - 西住みほ「堕ちていくほど、美しい」
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527:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:21:26.59 ID:DmRot5ES0
けれども、その時、私の手に重ねられた沙織さんの手の温もりが、私を私へと繋ぎ止める糸になってくれました。



528:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:22:11.75 ID:DmRot5ES0

「行ってあげなよ。こっちは私達が見るから」



529:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:23:24.54 ID:DmRot5ES0
沙織さんに勇気付けられ、私は優花里さんからロープを受け取り、救助へと行くことができました。

戦車は横に並んでいますから、跳べないことはありません。

これは、私が何のために逃げ出した戦車道へと再び舞い戻り、私達が何のために戦っているのかを、再考する瞬間でもあったのです。
以下略



530:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:23:51.77 ID:DmRot5ES0
M3リーへとたどり着くと、私は、泣き腫らした顔の一年生たち(兎チームと呼んでいました)と協力し、牽引の準備を早急に整えました。

その間、6時方向に視認された敵は、不思議と砲撃はせず、その上私たちが川を渡り終えるまでは近寄りもして来ないのでした(この点に関しては、紳士的だと思います)。


531:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:24:18.73 ID:DmRot5ES0
浅瀬まで来ると、M3リーも息を吹き返し、同時に敵の砲撃も再開されました。


532:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:25:08.78 ID:DmRot5ES0
市街地の直前に掛かっている橋を渡る際、最大限に時間を稼ぐため、橋を落とすよう自動車部の方々(レオポンチームと呼んでいました)へと指示をしたさい、鈍重な車体をとことん利用したウィリー走行のような挙動と、そのスポーツカー染みた加速には驚かされました。

ほかにもポルシェティーガーのエンジンを走行しながら修復していたりと、レオポンチームの皆さんは私が思う以上に逸材揃いだったようです。



533:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:25:47.51 ID:DmRot5ES0
そして苦難のすえ、ようやく市街地に到達することができました。


534:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:26:26.74 ID:DmRot5ES0
数で劣るこちらが打つもう一手は、市街地での遭遇戦です。

砲塔が長く、鈍重な重戦車中心の編成である黒森峰には、これ以上ない有効な一手であり、現状私達が取りうるほぼ唯一の正攻法です。

廃墟の陰から顔を出したV号を追いかけ、私達は団地群へと入って行きました。
以下略



535:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:26:52.65 ID:DmRot5ES0

次の瞬間、驚愕とも畏怖ともつかぬ感情が私達を支配しました。



536:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:27:45.03 ID:DmRot5ES0
壁のように、山のように眼前に聳え立つそれは、ドイツ重戦車の終幕を飾ったマウスでした。

重戦車偏重主義もここに極まれりか、と思わず舌打ちが出るほどでした。

ネズミの名に不釣り合いな巨体から放たれた砲撃の至近弾だけで、ヘッツァーが吹き飛ばされかけましたから、その火力は絶大です。


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