過去ログ - 西住みほ「堕ちていくほど、美しい」
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577:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:55:30.20 ID:DmRot5ES0
「お母様をあまり責めないでやってほしい。赤星たちの死に、心を痛めていないわけじゃない。決して、人死を肯定などはしていないよ。お母様は、戦車道で誰かが亡くなったことを受け入れ難かったんだ。自分の道が、人を死に至らしめうるものであるとは、思いたくなかったんだろう。」
578:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:56:06.24 ID:DmRot5ES0
犠牲無くして、勝利は得られない。
579:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:56:56.70 ID:DmRot5ES0
あの言葉は、母の揺らぐ心を、過去を、生き様を否定しないための防衛機制だったのかもしれません。
起きてしまった結果は、信じてきた己のたたかいの果てにある報いとしては、あまりに残酷です。
私はとたんに、母を憎いと思う気持ちを喪い、むしろ同情すら抱くようになっていました。
580:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:57:23.19 ID:DmRot5ES0
顧みると、人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳でした。
581:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:57:58.53 ID:DmRot5ES0
それから私は、泣きかけた姉を抱きしめて、かつてPravdaのふたりに贈った言葉をかけ、その苦しみに寄り添っていました。
あとには、大洗が護られたという事実だけが残りました。
582:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:58:40.16 ID:DmRot5ES0
それが、唯一の救いでした。
583:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:59:09.08 ID:DmRot5ES0
いまは私には、幸福も不幸もありません。
今でさえ、折に触れて、赤星さん達が死んだときに私も死んでいるべきだった、という思いが頭をよぎります。
584:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:59:37.20 ID:DmRot5ES0
しかし、大洗に逃げてからの数年間は、私の生涯で唯一、命を賭して守るべきものが与えられた瞬間だったのです(となると、私が会長を犯した夜は、私がこの身を以って学校を護るという誓約だったのでしょうか。生徒会の皆さんは私以外に頼る者がいなかったのですから、どうか責めずにいてください)。
585:津島[saga]
2016/05/27(金) 00:00:08.84 ID:psIF1EIN0
本当のことを言いますと、廃校の危機を脱したらすぐに、もっとも楽な世界へ消えてしまうつもりでした。
けれども、後に残されるみなさんのことを考えるといかにも不憫です。
そのうえ、また決勝で相見えることをエリカさんと約束していましたから、そのまま死ぬ訳には行かずに、ずるずると今日まで生きて参りました。
586:津島[saga]
2016/05/27(金) 00:00:42.91 ID:psIF1EIN0
記憶してくださいまし。
私が生きたかったのは、立ち塞がるものを薙ぎ倒して往く戦車の道ではなく、己の足で歩んで行く人の道だったのです。
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