過去ログ - 【ガルパン】西住しほ「おかえりなさい」
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137: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:23:27.50 ID:iF80Ipuz0

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 試合が始まるとしほと千代はモニターを注視していた。経験はともかく車両数は同数となり、限りなく条件は近くなったのだ。であれば勝敗は隊長の指揮能力によって決まるのだ。
以下略



138: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:24:16.51 ID:iF80Ipuz0

 試合が始まると3中隊に別れたみほ達は高台を取るようだ。戦術的に有利になる地形なので抑えるのは有効である。しかしそれは当然向こうも承知だろうし、何よりそれは『西住流』のような進め方であった。嬉しくも思ったが同時に違和感を持って試合を見ていると、モニターのスピーカーとそれに遅れる形で遠方より爆音が響いた。その衝撃は遠く離れた観覧席でも、空気の揺れを感じるほどのものだった。


139: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:25:48.69 ID:iF80Ipuz0

 優位な高台をとったのにも関わらず、どこからともなくその開けた高台に高火力砲撃が打ち込まれてくる。更に前方と後ろからは半包囲までされ高校連合の中央中隊は追い詰められていた。早くも4両が落とされる。中央中隊はみほのいる中隊と合流を図るべく斜面を全速前進する。開始30分程で立て続けに撃破される高校連合。しかし追撃部隊の手は緩むことはない。
 そんな心象を語る様に暗雲から雨が降りだした。仲間を逃がすために追撃する敵に特攻を仕掛けた3両のおかげで、中央中退は辛くも退避に成功する。この際2両を仕留める。


140: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:26:43.47 ID:iF80Ipuz0
 強力な重戦車を立て続けに失い、高校連合は開幕戦から大打撃を受けたのだった。この戦力では『西住流』のやり方では勝てないだろうと千代は笑う。雨の中でも傘を刺し悠然とする様からは余裕が感じられた。彼女は『西住流』をよく知っている。同数からならいざ知らず、こうなってからでは正攻法で負けることはないだろう。そんな考えからの笑みであった。軽く振り向き見えたしほの表情も険しいものに見える。このまま徐々に削りきるだろうと勝利を予想しモニターへと向き直るのだった。

千代「....」フフ

しほ「.....」
以下略



141: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:28:40.87 ID:iF80Ipuz0
 しかし千代の読みは外れていた。土砂降りの中、傘を刺さず険しい表情でモニターを見るしほ。傍から見れば娘のチームが大打撃を受けて負けを感じて落胆しているのように見えるかも知れない。だがしほはみほの勝利を未だ疑うことはない。彼女の険しい表情はみほが『西住流』のやり方だったならば、『島田流』のこのチームにおそらくこのまま負けただろうという自分の予想に対するものだった。それは戦車乗りとしての仮想戦をイメージした結果であり、その予想が不愉快だったための表情であった。
 現状手痛い追撃を受けたが、逆境にはあの子は慣れたものだろう。むしろそういった状況下でこそあの子は本領を発揮する。みほはみほらしい戦い方をすればいいのだ。あの子がここからどう状況を打開するのかを考え思考に集中する。そうして彼女の顔はまた一段と険しくなるのだった。


142: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:29:22.75 ID:iF80Ipuz0

 そんなしほの心中を仮に見れるものがいたならば、雨の中ずぶ濡れになった彼女の姿の見え方は千代とは違ったことだろう。負けを予感したことによる悲愴な姿ではなく、土砂降りなど意に返さないといった強者に見えたに違いない。それを体現するように高校連合もまた、戦力を削られたことなど意に返さず直ぐに対策へと移るのだった。



143: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:31:12.78 ID:iF80Ipuz0

=現在車両数 大学選抜28対23高校連合=

 今問題となっているのはどこからともなく降り注ぐ超質量の砲撃だ。高校連合はどのように対応するか。しほは本隊とは別に動き出した高校連合の4両小隊を見て索敵用の部隊だと予想する。みほの他中隊達は合流を図るようだ。大学選抜も同様に一度体制を整えるため合流を目指している様子。そんな二つの部隊とは離れた位置で先ほどの4両が例の砲撃元を発見したようだ。
 その正体はカール自走臼砲。要塞攻略に用いられる600mmを撃ち出す化物だ。さて見つけてみほ達はどうするのか。水平な地平でないと運用ができないはずであるから火力のある数両で足元を榴弾で荒らし、砲撃できなくした後ゆっくり仕留めるのだろうか。適当に予想してモニターを伺っていると、小隊はまさかの行動に出た。
以下略



144: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:33:07.36 ID:iF80Ipuz0
 みほ達本体に報告し合流するものと思いきや、BT-42が単騎で護衛のパーシングに突っ込み立て続けに2両を撃破。そのまま残り1両となった護衛車と戦闘を始める。同時にカールの居る中洲へ向かう橋から、後ろに乗せたCV33を89式が急ブレーキの勢いで投擲したのだ。
 しかし距離が足らずあえなく失敗する。だがこれで終わらないが『大洗』である。完全にひっくり返った形のCV33が履帯を回転させると、そこにヘッツァーが全速で飛び乗った。さながら加速するジャンプ台のようにヘッツァーは跳ね上がりカールの砲門に上方から砲撃を放つのだった。
 砲身や砲塔から黒い煙を吹き出しカールから白旗が上がる。
 護衛車を引きつけていたBT-42だったが片車輪となり走行不能状態になりながらも、巧みな操縦によって片輪走行で接近し至近距離で砲撃。見事打ち倒す。恐ろしい技術力である、しほはBT-42の乗組員の名前を後で調べようと心に決めた


145: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:33:59.03 ID:iF80Ipuz0
BT-42は脱落したが、残り3両は無事である。カールを打倒した小隊達は本体へ合流するべくその場を後にするのだった。

千代「!!?」

しほ「...」フフ
以下略



146: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:34:52.53 ID:iF80Ipuz0

 1人高揚していると前に座る千代が傘を落として魂消ている。以前に『大洗』の戦い方を見ていた私でもまた驚かされたのだ。初見だったであろう千代が驚くのは当然だろう。そもそも戦車を飛ばそうと考える者など普通いないのだ。観客達はその異質さに気が付くことなく派手な動きに興奮しているが、戦車道経験者は愕然としているだろう。
 常に余裕の表情でしほと同様にポーカーフェイスの千代の驚きの表情に、しほは内心ご満悦であった。気が付けば雨は止み雲の隙間から日差しが指し始めていた。
 反撃の知らせのように天候は切り変わりだし、戦況もまた大きく変わるのだった。



147: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:36:27.62 ID:iF80Ipuz0

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=現在車両数 大学選抜24対22高校連合=

【試合観覧席】
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