過去ログ - 【ガルパン】西住しほ「おかえりなさい」
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162: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:56:58.92 ID:iF80Ipuz0
 5両すべてがアトラクションの並ぶ広場に入るとすぐに戦闘は始まった。最初に脱落したのは『島田』のパーシングだった。まほがトンネルに飛び込むのと合わせるように、みほの乗るW号が富士を模した高台を駆ける。囮となったまほを追走する形でトンネルに入ったパーシングを出口で急停車することによって動きを奪わった。センチュリオンと接触するも上手く砲撃を回避したW号は、まほによって止められたパーシングをトンネル上部から車体を乗り出す形で真上から砲撃する。排気口を抜かれ白旗をあげるパーシング。これで2対2である。


163: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:57:42.45 ID:iF80Ipuz0
 この状況で横転の危険が有ることを平然とやってのけるW号の乗組員達は流石だ。砲撃による衝撃で上手く体制を立て直せたものの、失敗すればあの場で走行不能だ。みほが乗組員を高く評価し信頼しているのが伺えた。
 サラッと行われた今の連携だったが、パーシングを止めるタイミングとW号が上方にくるタイミングは完璧に合わせられていたから出来たものである。息の有った姉妹二人だからこそ出来るものであった。


164: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:58:46.92 ID:iF80Ipuz0
 娘二人がこうして再び連携を取っているのを見れたことでしほの心は浮き立っていた。一度は自分の手によってその二人の間を裂いたのだ。それがこうして再び共に戦っている。消えたと思っていたが、自分の中にある蟠りはまだ残っていたようだ。それはみほに対してだけではなく、みほを離したことで姉として心配し葛藤していたであろうまほを思ってのものだった。
 そうした憂いがようやく解消されたのだった。感傷に浸っているウチに、もう一両のパーシングは倒されていた。



165: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:00:33.10 ID:iF80Ipuz0
 =現在車両数 大学選抜1対2高校連合=

千代「.......」

しほ「.......」
以下略



166: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:02:25.51 ID:iF80Ipuz0
 千代はこの戦いが今まで何度もやりあってきた、しほとの戦の続きだと思っている。この試合を『島田』対『西住』だと思っているからだ。
しかししほは違っていた。高校連合は『西住』であって『西住』にあらず。この支柱となっているのは西住みほによる『大洗流』なのだ。試合前までは千代と同じ気持ちであったが、試合の中でみほの『大洗』は新しい形の流派の一つと認めてしまった。であればこの戦いは私達の代理戦闘などではなく。『島田』VS『大洗』。『個の強さVS仲間との絆』と言った方が正確だろう。しほはまた考えを改めたのだ。みほに感化されたのか彼女もまた柔軟になってきていた。
 異なる二人の気持ちを乗せて、視線はモニターへと突き刺さる。
 


167: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:04:59.35 ID:iF80Ipuz0
 西住姉妹による連携と連撃は確かなものだった。並みの相手であれば数秒と持たないだろう。しかし相手は島田であった。愛里寿は超信地旋回によって砲弾を避け、踊るように動き回りアトラクションを吹き飛ばす。その華やかで豪快な動きは完全に『島田』の戦闘である。
 先程破れたマーク持ちのパーシング達は1両を削がれていたことによって連携がうまく機能できていなかった。だからこそ敗れたのだ。彼女達は3両で『島田』再現しようとしていた。だがここに居る愛里寿は正しく単騎で『島田』を体現しているのである。さすがは正当後継者だ。
 それに立ち向かう『西住』姉妹。しかしその戦い方は到底『西住』とは言えないだろう。それもその筈である。『西住』は集団であることを前提としている。陣形により包囲し火力で殲滅する。そうしたやり方を得意とするのだ。この場にいるのは2両のみだ。包囲などできないし、センチュリオンが相手では挟撃しようにも片方が早々に打倒されて直ぐに終わりだろう。
 そうした様子を見てここに来て千代も察する、愛里寿が戦っているのは『西住』ではないのだと。


168: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:06:53.84 ID:iF80Ipuz0
 二人と同様に会場も静まり返っていた。それだけ皆集中して、この最終局面を見ているのだ。繰り返される攻防。どちらも一歩も譲らないでいた。
 そんな中みほとまほが互いに何かを伝えた様子がモニターに映る。何か仕掛ける気のようだ。だが先に仕掛けたのは愛里寿だった。再び合図を送ろうと先行するみほが振り向いたその一瞬にアトラクションを突き破って距離を詰めてきたのだ。W号は後ろを取られる形で停車し、センチュリオンの砲身が狙いを定めた。
 しほは心臓が鷲掴みにされたような気分になったが、緊迫したその瞬間に砲撃が放たれることはなかった。戦闘の余波で動き出していたクマの遊具がW号とセンチュリオンの間に入ってきたのだ。一瞬の止まった時間に早く反応したのはみほだった。W号が動くのに遅れてセンチュリオンが砲撃する。決着がついたかに見えた戦いは、予想外の乱入者によって延長された。


169: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:07:21.24 ID:iF80Ipuz0
お互いに体制を立て直すように距離をとる。広場の出口にセンチュリオンが、その正面の富士を模した高台にW号とティーガー1が縦列に並ぶ。両者は向かい合うと同時に動き出した。



170: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:09:35.09 ID:iF80Ipuz0
 千代・愛里寿の2人はW号を盾にしての突撃と予測した。至近距離ならともかくあれだけ離れていればW号の砲撃ではセンチュリオンは抜けない、同様にティーガー1でも距離があれば抜けないのだ。であれば接近する前に順次倒せばいい。しほも同じことを考えていたが、同時にみほはきっと違うことをするのだろうと予想する。これまでもあの子は私を驚かせてきた。当然のように私の想像の先を行く。しほはみほの勝利を疑わない。先程まほとみほが何かやり取りをしている姿が映った以上、単純な突撃などありえないと思ったのだ。
 動き出す両雄。高台からの降下によって加速する西住姉妹のW号とティーガー1、十分な距離があったはずのその間合いはティーガー1の砲撃により一瞬で消えた。
ティーガー1が放ったのは空砲であり、打ち込んだのは目の前を走るW号へだった。空砲により急加速したW号は刺し違えるようにセンチュリオンに砲身を突き刺し砲撃する。白旗があがったのはセンチュリオンとW号の両雄からだった。残存するはティーガー1のみ。
 審判団の目視確認も終わり、勝利宣告がくだされる。



171: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:10:23.84 ID:iF80Ipuz0

審判員「目視確認.....残存車両1」

蝶野「大洗女子の勝利!」

以下略



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