過去ログ - 【ガルパン】西住しほ「おかえりなさい」
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/09(土) 23:06:53.84 ID:iF80Ipuz0
二人と同様に会場も静まり返っていた。それだけ皆集中して、この最終局面を見ているのだ。繰り返される攻防。どちらも一歩も譲らないでいた。
そんな中みほとまほが互いに何かを伝えた様子がモニターに映る。何か仕掛ける気のようだ。だが先に仕掛けたのは愛里寿だった。再び合図を送ろうと先行するみほが振り向いたその一瞬にアトラクションを突き破って距離を詰めてきたのだ。W号は後ろを取られる形で停車し、センチュリオンの砲身が狙いを定めた。
しほは心臓が鷲掴みにされたような気分になったが、緊迫したその瞬間に砲撃が放たれることはなかった。戦闘の余波で動き出していたクマの遊具がW号とセンチュリオンの間に入ってきたのだ。一瞬の止まった時間に早く反応したのはみほだった。W号が動くのに遅れてセンチュリオンが砲撃する。決着がついたかに見えた戦いは、予想外の乱入者によって延長された。
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/09(土) 23:07:21.24 ID:iF80Ipuz0
お互いに体制を立て直すように距離をとる。広場の出口にセンチュリオンが、その正面の富士を模した高台にW号とティーガー1が縦列に並ぶ。両者は向かい合うと同時に動き出した。
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◆5yXN2jIX2Y
[sage saga]
2016/04/09(土) 23:09:35.09 ID:iF80Ipuz0
千代・愛里寿の2人はW号を盾にしての突撃と予測した。至近距離ならともかくあれだけ離れていればW号の砲撃ではセンチュリオンは抜けない、同様にティーガー1でも距離があれば抜けないのだ。であれば接近する前に順次倒せばいい。しほも同じことを考えていたが、同時にみほはきっと違うことをするのだろうと予想する。これまでもあの子は私を驚かせてきた。当然のように私の想像の先を行く。しほはみほの勝利を疑わない。先程まほとみほが何かやり取りをしている姿が映った以上、単純な突撃などありえないと思ったのだ。
動き出す両雄。高台からの降下によって加速する西住姉妹のW号とティーガー1、十分な距離があったはずのその間合いはティーガー1の砲撃により一瞬で消えた。
ティーガー1が放ったのは空砲であり、打ち込んだのは目の前を走るW号へだった。空砲により急加速したW号は刺し違えるようにセンチュリオンに砲身を突き刺し砲撃する。白旗があがったのはセンチュリオンとW号の両雄からだった。残存するはティーガー1のみ。
審判団の目視確認も終わり、勝利宣告がくだされる。
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/09(土) 23:10:23.84 ID:iF80Ipuz0
審判員「目視確認.....残存車両1」
蝶野「大洗女子の勝利!」
以下略
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/09(土) 23:11:42.95 ID:iF80Ipuz0
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【観覧席の出口付近】
閉会式が終わりほとんどの客が退場すると、しほと千代も人の少なくなった出口へ向かう。すると満面の笑みの理事長と失意の表情の役人がいた。
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◆5yXN2jIX2Y
[sage saga]
2016/04/09(土) 23:12:37.77 ID:iF80Ipuz0
観客E「その幸運を手にするために誰しもが努力してますのよ。偶然があったとしても戦車道はチームワークに成り立つ、それがあったからこその勝利ですわ」
観客F「エクレール様あんまり他の方の会話に口出しするべきではないですよ?」
以下略
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◆5yXN2jIX2Y
[sage saga]
2016/04/09(土) 23:14:02.75 ID:iF80Ipuz0
理事長「君も自分の言ってることが負け惜しみだってわかってるんだろう。他の見に来てた人の反応を見てはっきりわかったでしょ?」
役人「くそ...」
しほは色々言ってやりたいことがあったが、もう少ないとはいえ人の往来がある場所だ。何より先程の少女達が代わりに苦言を代弁してくれたから良しとしよう。理事長があとは上手くやってくれると信じて肩の力を抜いた。
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◆5yXN2jIX2Y
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2016/04/09(土) 23:14:51.42 ID:iF80Ipuz0
千代「今度門下同士で戦わせてみましょうか」クス
しほ「受けて立ちます。ただしやるからにはこちらも手加減は致しません」フフ
実際に対峙して自分と同じように娘を見る千代と接して、島田千代という人物をしほは思っていたよりも近くに感じた。同じ家元であり娘を持つ身、そんな似ている境遇からも親しみを感じていた。そんな彼女になんとなく、いつか言われた言葉をそのまま返してみる。
以下略
176
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◆5yXN2jIX2Y
[sage saga]
2016/04/09(土) 23:16:25.83 ID:iF80Ipuz0
すこし打ち解けた二人はその後短い言葉を交わすと挨拶を済ませ、それぞれの背負っている家へと足を向けた。以前の自分ならありえないことだが、今は人との気持ちを考え、打ち解けられるようになった気がする。これもみほに感化された影響なのだろうか。私も『大洗』門下に入ってしまったかと1人冗談を考え笑う。これでみほの学園艦は守られるだろう。
大々的にこの度の試合を公開したのだ、これでまだ言うのなら国民の顰蹙を買うことになる。もう大丈夫だろうと満足し彼女は歩き出す。
本音を言えば、みほとまほに一声かけて行きたい。しかしみほ自身が気持ちを整理し自分の意思で戻ってくるまで、私から接触はしないと決めていた。しほはいつかみほが戻ってくると信じて、西住の家へと帰っていった。
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◆5yXN2jIX2Y
[sage saga]
2016/04/09(土) 23:17:50.56 ID:iF80Ipuz0
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【西住邸の一室】
あの騒動があってから1ヶ月程が経った。騒動があった直後は多忙な毎日となった。援助を依頼した方達が紹介してくれた企業から資金援助、スポンサー契約などの話があがったのだ。それは喜ばしいことだったのだが、多忙となったのはその数のあまりの多さによるものだった。大学選抜対高校連合の試合はネット配信されていたらしく、廃校から脱するために戦う彼女達を応援したいと言う声で一般の方からの義援金まで集まった。義援金の募集をした趣旨としては世界大会に向けてのものだったのだが、蝶野さんによる過剰なまでの大洗を救おうとする煽りに釣られた人が大勢いたようだ。実際そのお金を使って学園艦解体分の金銭を賄えるので、大洗のためといえばそうなのだが騙したようで気が引ける。
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◆5yXN2jIX2Y
[sage saga]
2016/04/09(土) 23:26:49.84 ID:iF80Ipuz0
多忙となったことは順調に世界大会へ向けて戦車道連盟と国が本格的に動き出したことを意味している。
プロリーグや選抜選手の育成なども本格的に決まってきた。それに伴いわかったことなのだが、大洗の学園艦は解体ではなく流用する予定だったらしい。というのも代表選手達の移動式演習場と選手村を載せた艦を作ろうとしていたそうなのだ。その為に既存の学園艦を利用する方が、早く運用できるということでの廃校だったのだそうだ。仮名で施設艦と呼ぼうか。
施設艦を作り早期から選抜選手達の育成及び強化をすることで代表選手の強化を図る計画があったそうだ。しかし今回の騒動で予算は得たが施設艦の完成までには時間がかかってしまう。そこで私は西住の所有する演習場の貸出を提案したのだ。連絡を取ったところ島田流家元も協力すると返事があり、それならばと玉田流の協力の声もあがった。島田・西住・玉田の広大な演習場を活用することで、選手達の早期育成に関する計画の問題も解消された。
そうして問題は徐々に解消され話は進み、つい昨日まで仮ではあるが代表選手の選考が行われていた。仮というのも世界大会は数年後、まだ先の話なのである。その為伸びしろのあるものも含め一度候補達を決め、その候補を定期的に3家の演習場で鍛え練度を高めるということになった。そしてその中から正式な選手を選ぶのだ。
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