過去ログ - 【ガルパン】西住しほ「おかえりなさい」
1- 20
175: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:14:51.42 ID:iF80Ipuz0
千代「今度門下同士で戦わせてみましょうか」クス

しほ「受けて立ちます。ただしやるからにはこちらも手加減は致しません」フフ
 
 実際に対峙して自分と同じように娘を見る千代と接して、島田千代という人物をしほは思っていたよりも近くに感じた。同じ家元であり娘を持つ身、そんな似ている境遇からも親しみを感じていた。そんな彼女になんとなく、いつか言われた言葉をそのまま返してみる。
以下略



176: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:16:25.83 ID:iF80Ipuz0
 すこし打ち解けた二人はその後短い言葉を交わすと挨拶を済ませ、それぞれの背負っている家へと足を向けた。以前の自分ならありえないことだが、今は人との気持ちを考え、打ち解けられるようになった気がする。これもみほに感化された影響なのだろうか。私も『大洗』門下に入ってしまったかと1人冗談を考え笑う。これでみほの学園艦は守られるだろう。
大々的にこの度の試合を公開したのだ、これでまだ言うのなら国民の顰蹙を買うことになる。もう大丈夫だろうと満足し彼女は歩き出す。
 本音を言えば、みほとまほに一声かけて行きたい。しかしみほ自身が気持ちを整理し自分の意思で戻ってくるまで、私から接触はしないと決めていた。しほはいつかみほが戻ってくると信じて、西住の家へと帰っていった。



177: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:17:50.56 ID:iF80Ipuz0

――――――――――――――――――――
【西住邸の一室】

 あの騒動があってから1ヶ月程が経った。騒動があった直後は多忙な毎日となった。援助を依頼した方達が紹介してくれた企業から資金援助、スポンサー契約などの話があがったのだ。それは喜ばしいことだったのだが、多忙となったのはその数のあまりの多さによるものだった。大学選抜対高校連合の試合はネット配信されていたらしく、廃校から脱するために戦う彼女達を応援したいと言う声で一般の方からの義援金まで集まった。義援金の募集をした趣旨としては世界大会に向けてのものだったのだが、蝶野さんによる過剰なまでの大洗を救おうとする煽りに釣られた人が大勢いたようだ。実際そのお金を使って学園艦解体分の金銭を賄えるので、大洗のためといえばそうなのだが騙したようで気が引ける。


178: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:26:49.84 ID:iF80Ipuz0
 多忙となったことは順調に世界大会へ向けて戦車道連盟と国が本格的に動き出したことを意味している。
 プロリーグや選抜選手の育成なども本格的に決まってきた。それに伴いわかったことなのだが、大洗の学園艦は解体ではなく流用する予定だったらしい。というのも代表選手達の移動式演習場と選手村を載せた艦を作ろうとしていたそうなのだ。その為に既存の学園艦を利用する方が、早く運用できるということでの廃校だったのだそうだ。仮名で施設艦と呼ぼうか。
 施設艦を作り早期から選抜選手達の育成及び強化をすることで代表選手の強化を図る計画があったそうだ。しかし今回の騒動で予算は得たが施設艦の完成までには時間がかかってしまう。そこで私は西住の所有する演習場の貸出を提案したのだ。連絡を取ったところ島田流家元も協力すると返事があり、それならばと玉田流の協力の声もあがった。島田・西住・玉田の広大な演習場を活用することで、選手達の早期育成に関する計画の問題も解消された。
 そうして問題は徐々に解消され話は進み、つい昨日まで仮ではあるが代表選手の選考が行われていた。仮というのも世界大会は数年後、まだ先の話なのである。その為伸びしろのあるものも含め一度候補達を決め、その候補を定期的に3家の演習場で鍛え練度を高めるということになった。そしてその中から正式な選手を選ぶのだ。


179: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:28:31.90 ID:iF80Ipuz0
 余談なのだが島田千代とはあれ以来連絡を取るようになった。戦車道の話や娘の話などたわいないことを話すくらいの間柄である。そんな彼女から聞いたところによると、やはり大学選抜の選手達は手を抜いていたそうだ。序盤での撃破も可能だったが、廃校の話を聞いて気持ちよく蹂躙などできるわけがない。しかしそんな彼女達もカールを倒されてからは本気となったらしい。だが最初の高地を目指していたような正攻法ではなく、突然の奇策の数々に翻弄されるといった情けない結果になってしまった。正直舐めてかかっていたと反省していたので教練の量を倍にしてあげたとのことだった。
 試合後さっぱりした顔をしていたが、千代は負けたことを案外根に持っているようだ。そのうちみほ達に再戦を申し込むかもしれない。


180: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:30:54.58 ID:iF80Ipuz0

 ちなみにカールについては役人が使うよう要求してきたそうだ。600mmを撃ち出すカールをタダで貰える上にそれを好きに放てるということで、つい了承してしまったらしい。


181: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:33:01.36 ID:iF80Ipuz0
 問題の解決と共に構想は現実味を増し計画は形になってきた。次々に進む様相は戦車道の試合に似ている。そんな多忙な毎日がここのところ続いていたが、今日から数日はしほは休みなのである。世間は今シルバーウィークであり、しほもまた祝日によって体を休めていた。
 疲労がたまっているはずの彼女だったが、疲れている様子は微塵もない。表情は普段通りの仏頂面ではあったが、その内心では喜び勇んでいた。原因は彼女の手に握られた一通の手紙だ。差出人名は西住みほ。内容はシルバーウィークに帰省する。というものである。そろそろ到着するだろうか。私同様に浮き足立っていたまほが電話を受けて先程駅まで迎えいったのだ。
 そわそわとしながら菊代が入れてくれたコーヒーを飲みながら、何を話すか考える。
 


182: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:36:18.21 ID:iF80Ipuz0
 しかし子供というのは親の思い通りには動いてくれないものである。
 しほの考えがまとまらぬ内に呼び鈴は鳴らされた。玄関の方で菊代とみほが話す声が聞こえてくる。まほも含めた3人がこの部屋へ向かっているのを感じた。さてどうしたものか。
 昨年のことを詫びようか、全国大会のことを称えようか、候補選手の一人として名が上がっていることを伝えようか、己の道を見つけたことを褒めようか。伝えたいこと話したいことはいくらでもあった。しかし彼女は西住しほである。余裕を持ち柔軟になったとはいえ彼女は不器用なのだ。
 故に彼女は多くを語るのは苦手である。だからこそシンプルに自分の気持ちを込めた一言から伝えよう。撃てば必中 守りは硬く 進む姿は乱れなし 目標を見据えて、しほは娘たちを待ち構える。
 
以下略



183: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:38:52.14 ID:iF80Ipuz0




しほ「おかえりなさい」
以下略



184: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:44:47.94 ID:iF80Ipuz0
以上で完結になります。保守や温かいコメントをくださった方々ありがとうございます。
自分の中のストーリというかイメージを読んでもらえてその意見が貰えるのはとても嬉しいですね。
今まで読むだけだったSSでしたが、最近書く楽しさも実感できました。

長く稚拙な文章になりましたが、最後までお付き合い頂いた方々ありがとうございますです。
以下略



205Res/101.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice