10:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 19:49:55.20 ID:DHCL1te50
「はぁ……」
ありえないことで涙まで流す京子に、思わず溜息が出る。
それを苛立っているとでも捉えたか、また京子がびくりと体を震わせた。違うってのに。
「ゆ、ゆい、行かないで……」
「……今更私がおまえに愛想尽かすわけないだろ。いつからお前とつきあってると思ってるんだ」
物心ついた頃にはすでに、私の隣には京子がいた。それから京子とは片時も離れずに一緒にいたから、十数年間の私の人生を語る上で京子の存在は欠かせない。それくらい、私と京子の関係は強固なもののはずで。
迷惑なんて、どんどんかけてくれてかまわない。むしろ遠慮されたりしたら逆に困るくらいだ。
「ゆ、ゆいぃ……」
またうるうるし始める京子。
――なんだ。京子は変わっていないじゃないか。
どれだけ強くなったように見えても、取り繕っても、その内にはかつての京子がやっぱりあった。
かつての弱い京子は、消えたんじゃなくて、今の京子の中に潜んでいたんだ。
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