過去ログ - 今井加奈「わたしが可愛くなりたい理由」【モバマス】
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3: ◆bwwrQCbtp.[sage]
2016/04/05(火) 23:43:30.10 ID:slrcx/r90

 この日は、加奈の両親も含めて、親子三代での訪問であった。
 それでも当然ながら、一番おばあちゃんに喜ばれるのは、幼い加奈の訪問だった。

「おばあちゃん、またおはなしして。」
「はいよ。」

 そう言って二人は縁側に出て行く。
 座布団を二つ敷いて、よく日のあたる場所に腰掛ける。
 おばあちゃんは座布団の上に正座。加奈は縁側の端に座布団を置いて、椅子のように腰掛けながら膝から下をぴょこぴょこ動かしている。
 ここが、おばあちゃんの家での二人の指定席だ。

「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。」

 おばあちゃんは昔話の物語を始める。
 自分の子や孫にも、聞かせたであろう話。
 新米のパパママや、祖父母にはとても出せない、味のある語り口。
 家にテレビのない時代から、子供のために聞かせていた話である。

 加奈も、めまぐるしく画面の切り替わるせわしないテレビの物語より、ゆっくりと聴けるおばあちゃんの話を好んだ。

 縁側から見える風景。
 家の前に畑があり、その向こうには山が見える。
 今日のような晴れた日には、山の上に青い空が広がり、白い雲が流れる。
 絵に描いたような日本の田舎の風景。それがそのままここにはあった。

 加奈はニコニコとその風景を眺めながら、相変わらず足をぴょこぴょこさせて、おばあちゃんの話を聞いていた。

「そしてみんなは、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。」

「めでたし、めでたし!」

 加奈がおばあちゃんの真似をする。



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