過去ログ - 屋上に昇って.
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12:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:28:38.15 ID:IXgA3K/jo

 めまいに襲われたように、嘉山のからだは揺らめきはじめる。
 俺は声も出せずにその姿を見つめていた。

「あの日、葉羽は……」

「孝之?」

 声をかけ、近付こうとした嵯峨野の肩を、嘉山はつかんだ。

「どうしてそれが、そこにある? ずっと持ってた? そんなはずない!
 葉羽は時計を落としたんだ! あの日それを探してた!」

「違う、孝之」

 慎重そうな声で、落ち着かせようとするみたいに、嵯峨野はこわばった声をあげる。

「時計はずっと、葉羽の部屋にあった」

 嘉山はいっそう混乱したように、嵯峨野の肩を揺さぶった。

「じゃあ、あの日葉羽はなんで川に近付いた? あいつが意味もなくそんなことをするわけがない」

「それは、俺にもわからない」

「わからないわけあるかよ!」




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