過去ログ - 屋上に昇って.
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13:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:29:08.24 ID:IXgA3K/jo

 嵯峨野は、何かをあきらめるような顔をした。

「どうしてかは知らない」

 それから静かに、言葉を続ける。

「あの日、川に近付いたのはおまえだ、孝之。葉羽はそれを止めにいった」

「え……?」

 嘉山の表情から感情が欠落する。
 何かを探ろうとするみたいに、視線が宙を泳ぐ。

「そんなわけ、葉羽は、時計を……」

 そうだ、葉羽は、時計を探してたんだ。

 嘉山は、そう言った。

 嘉山が、腕に力を込めたのがわかった。
 嵯峨野の体が、フェンスに押し付けられる。
 古びた金網が軋む声をあげた。

「時計を探してたんだ、それは間違いない……間違いない!」
 



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