過去ログ - 屋上に昇って.
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2:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:22:31.57 ID:IXgA3K/jo



 フェンスのそばには嵯峨野連理が、 
 屋上の入り口には嘉山孝之が、
 その中間、少し斜めに、俺が立っていた。

 三角形を作る頂点のように、俺たちはそれぞればらばらに立っている。

 嘉山孝之は、俺と嵯峨野の顔を交互に見てから、怪訝そうな顔をして、

「朝から何を話していたんだ?」

 そう、訊ねてきた。

「たいしたことじゃないよ」と嵯峨野は言った。
 
 言いながら、彼は、手のひらに持っていた腕時計をポケットの中に忍ばせる。

 どうしてそんなことをするのか、俺にはよくわからなかった。 
 でも、無駄だったらしい。

「連理兄、今、ポケットの中に、何を入れた?」

 けっして、近い距離ではないけれど、嘉山はすぐに、それに気付いた。




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