214:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:47:15.51 ID:g8K72d6xo
なんとなく、手を繋いだまま、俺は立ち止まってしまった。
引っ張られるみたいに、るーが振り返る。
なんだか、何も言えなくなった。
急に辺りの音が遠くなった気がする。
近くを小学生くらいの男の子たちが通りすぎていった。
楽しげに声をあげながら。
そういうのがぜんぶ、遠い。
「……タクミくん?」
少し、不安そうな、るーの声。
俺は、少しだけ、握っている手に力を込めた。
「あのさ、るー」
「はい」
「ひとつだけ、お願いがあるんだ」
るーは、こくりと頷いた。
「今すぐに、の、ことじゃないんだけど」
また、彼女は頷く。
「たぶん、逃げてばかりもいられないから」
頷く。
笑いも呆れもせずに、真剣な顔で話せば、真剣な顔で。
「あのさ――」
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