過去ログ - 屋上に昇って.
1- 20
214:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:47:15.51 ID:g8K72d6xo

 なんとなく、手を繋いだまま、俺は立ち止まってしまった。

 引っ張られるみたいに、るーが振り返る。

 なんだか、何も言えなくなった。
 急に辺りの音が遠くなった気がする。

 近くを小学生くらいの男の子たちが通りすぎていった。
 楽しげに声をあげながら。

 そういうのがぜんぶ、遠い。

「……タクミくん?」

 少し、不安そうな、るーの声。

 俺は、少しだけ、握っている手に力を込めた。

「あのさ、るー」

「はい」

「ひとつだけ、お願いがあるんだ」

 るーは、こくりと頷いた。

「今すぐに、の、ことじゃないんだけど」

 また、彼女は頷く。

「たぶん、逃げてばかりもいられないから」

 頷く。
 笑いも呆れもせずに、真剣な顔で話せば、真剣な顔で。
 
「あのさ――」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
396Res/275.74 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice